第111回 看護師国家試験 午前 問85 解説

一般精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

A さんは職場の上司に不満をぶつけたいと考えているが、それができないので、不満をぶつけやすい対象である後輩を叱責している。A さんの防衛機制で正しいのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 対象を変えて不満をぶつける防衛機制は『置き換え』である

上司に向けたい怒りを、そのままぶつけられないので、ぶつけやすい後輩に向けている。このように感情の向け先を本来の相手から別の相手へ移す防衛機制が置き換えである。

他の選択肢は、感情の向け先を変える機制ではない。解離は意識や記憶、自分が自分であるという感覚が一時的に切り離される機制、昇華は欲求を社会的に価値のある活動へ向け換える機制、合理化はもっともらしい理由をつけて正当化する機制、反動形成は本心と反対の態度をとる機制である。

  • 1

    解離不正解

    解離は意識・記憶・同一性が一時的に切り離される機制であり、対象を変える例ではない。

  • 2

    昇華不正解

    昇華は欲求を社会的に価値ある活動へ向け換える機制であり、後輩に怒りをぶつける例とは異なる。

  • 3

    合理化不正解

    合理化はもっともらしい理由で正当化する機制であり、対象の置き換えではない。

  • 4

    置き換え正解

    本来の相手に向けられない感情を、ぶつけやすい別の対象に向けるのは置き換えである。

  • 5

    反動形成不正解

    反動形成は本心と反対の態度をとる機制であり、対象を変える例ではない。

📚 国試でよく狙われるところ

防衛機制は名前の定義ではなく、具体的な場面を読ませて何の機制かを問われる。名前と例を対にして覚えよう。 防衛機制は、不安から自我を守るために無意識に働く心のしくみで、それ自体は誰にでもある正常なもの。過剰になったり固定したりして、現実への適応を妨げるときに問題となる。

  • 「対象を変える」のが置き換え、「価値ある活動へ向け換える」のが昇華。昇華は最も適応的とされる。
  • 退行は発達段階を後戻りする機制。入院した幼児のおねしょ・指しゃぶりが典型例。
  • 投影は自分の受け入れがたい感情を相手のものとみなす(「自分が嫌っている」→「相手が自分を嫌っている」)。
主な防衛機制
機制内容例
抑圧受け入れがたい感情を意識から締め出すつらい体験を思い出せない
否認事実を認めない重い診断を「何かの間違い」とする
退行前の発達段階に戻る入院した幼児が指しゃぶりをする
投影自分の感情を相手のものとみなす自分の敵意を「嫌われている」と感じる
反動形成本心と反対の態度をとる嫌いな相手に過度に親切にする
合理化もっともらしい理由で正当化不合格を「もともと興味がなかった」とする
置き換え感情の対象を別の相手に移す上司への怒りを後輩にぶつける
昇華欲求を社会的に価値ある活動へ攻撃性をスポーツに向ける

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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