第111回 看護師国家試験 午前 問41 解説
📝 問題
術後1日の手術創の正常な治癒過程として正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 術後1日は炎症期にあたり、創部の浮腫が起こる。
創傷治癒は炎症期→増殖期(肉芽形成期)→成熟期(瘢痕形成期)の順に進む。術後1日は炎症期にあたり、血管透過性が高まって創部に発赤・腫脹(浮腫)・熱感・疼痛があらわれる。
肉芽組織の形成と血管新生は増殖期の現象で、術後数日〜2週間ごろから盛んになる。コラーゲンが成熟して瘢痕になるのは成熟期で、数週間から数か月かかる。どれも術後1日にはまだ起こらない。
肉芽組織とは
傷を埋めるようにできる、赤くやわらかい新しい組織。毛細血管と線維芽細胞が集まってできる。
血管透過性とは
血管の壁から水分やタンパクがしみ出す性質。炎症で高まり、その場所が腫れる(浮腫)。
- 1
創部の浮腫が起こる。正解
術後1日は炎症期で、血管透過性亢進による創部の浮腫がみられる。
- 2
肉芽組織が形成される。不正解
肉芽組織の形成は増殖期の現象で、術後数日以降に盛んになる。
- 3
コラーゲンが成熟し瘢痕組織となる。不正解
コラーゲンが成熟し瘢痕化するのは成熟期で、数週間以降の過程である。
- 4
血管内皮細胞が新しい血管を形成する。不正解
血管新生は増殖期の現象で、術後1日にはまだ起こらない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
創傷治癒は、どの時期に何が起こるかを入れ替えて問われる。時間軸に並べて、期の名前と起こる現象を対にして覚えよう。
- 一次治癒=縫合により創縁を密着させて治す(手術創)。二次治癒=欠損が大きく肉芽で埋めて治す。
- 創面を乾燥させず湿潤環境に保つほうが上皮化が進む。
- 治癒遅延因子:低栄養(低アルブミン)・糖尿病・ステロイド薬・感染・血流障害・喫煙。
- 術後の創部発赤・腫脹は炎症期には生理的だが、術後3〜5日以降に増悪する発赤・膿性排液・発熱は感染を疑う。
| 時期 | 目安 | 主な現象 |
|---|---|---|
| 炎症期 | 受傷直後〜3日程度 | 血管透過性亢進、発赤・腫脹・熱感・疼痛、好中球・マクロファージの遊走 |
| 増殖期 | 数日〜2週間ごろ | 線維芽細胞によるコラーゲン産生、血管新生、肉芽形成、上皮化 |
| 成熟期 | 数週間〜数か月以上 | コラーゲンの再構築、瘢痕の収縮・退色 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について