第110回 看護師国家試験 午後 問92 解説
📝 問題
Aさん(64歳、女性、主婦)は、50歳で高血圧症と診断され降圧薬を服用しており、数か月前からサイクリング中に息苦しさやめまいを感じ受診した。外来受診時のバイタルサインは脈拍40/分、血圧96/52mmHgであった。検査の結果、Aさんは完全房室ブロックと診断された。 今後、Aさんに起こりやすいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 完全房室ブロックによる徐脈で脳血流が低下し、脳虚血(失神・めまい)が起こりやすい。
完全房室ブロックでは心室の興奮が補充調律に依存するため心拍数が著しく低下し、心拍出量が減少する。その結果、脳への血流が保てなくなり、めまい・失神・けいれん(アダムス・ストークス発作)といった脳虚血症状が起こりやすくなる。Aさんがサイクリング中に感じた息苦しさやめまいも、この脳・全身の血流低下によるものである。
完全房室ブロックの補充調律は不安定で、心停止(心室停止)に移行するリスクもある。突然の失神は転倒・外傷につながるため、ペースメーカー適応を検討する重要な病態である。
肺塞栓症・不安定狭心症・心タンポナーデはいずれも別の仕組みで起こり、徐脈が直接の原因にはならない。 徐脈→心拍出量の低下→脳虚血という流れで押さえよう。
補充調律とは
上からの刺激が届かないとき、心室などが代わりに出す遅いリズム。1分間に30〜40回程度と少なく、不安定である。
アダムス・ストークス発作とは
不整脈で心臓から送り出される血液が減り、脳の血流が足りなくなって起こるめまいや失神。
- 1
脳虚血正解
徐脈による心拍出量低下で脳血流が減り、失神・めまい(アダムス・ストークス発作)が起こりやすい。
- 2
肺塞栓症不正解
肺塞栓症は深部静脈血栓が原因で、房室ブロックの徐脈から直接は起こりにくい。
- 3
不安定狭心症不正解
不安定狭心症は冠動脈病変が主因で、徐脈が直接誘発するものではない。
- 4
心タンポナーデ不正解
心タンポナーデは心嚢液貯留による病態で、房室ブロックとは機序が異なる。
📚 ここも一緒におさえておこう
徐脈で脳血流が保てなくなり生じる失神発作をアダムス・ストークス発作という。 名前と症状を結びつけて問われる。「脈が遅い→脳に血が回らない→倒れる」という順序で理解しておくとよい。
- 症状=めまい・眼前暗黒感・失神・けいれん。転倒による外傷にも注意する
- 心拍出量=1回拍出量×心拍数。徐脈は直接心拍出量を下げる
- 完全房室ブロックや洞不全症候群で症状を伴う場合は恒久的ペースメーカーの適応となりうる
- 緊急時はアトロピン投与や体外式ペーシングで心拍数を確保する
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について