第110回 看護師国家試験 午後 問80 解説
📝 問題
Aさん(48歳、男性、会社員)は、大量の飲酒の後、急激な上腹部痛と背部痛を訴え、救急外来を受診し、急性膵炎と診断された。Aさんの救急外来受診時の血液検査結果で予測されるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 急性膵炎では血清アミラーゼ値が上昇する。
急性膵炎は、大量飲酒や胆石などを契機に膵酵素が膵内で活性化し、膵臓が自己消化される疾患である。膵臓から逸脱した消化酵素が血中に増加するため、血清アミラーゼ値やリパーゼ値が上昇する。 上腹部痛と背部への放散痛が典型症状である。
他の選択肢は誤りである。炎症に伴い血清LDHは上昇し(低下ではない)、γ-GTPはアルコール性で上昇しうる。血小板数は重症例でむしろ減少しうる。膵炎では膵臓から遊離した脂肪酸がカルシウムと結合するため低カルシウム血症を生じることがあり、カルシウム値は上昇ではなく低下しうる。
アミラーゼとは
でんぷんを分解する消化酵素。膵臓や唾液腺でつくられ、膵臓が壊れると血液中に漏れ出て高くなる。
γ-GTP〈ガンマジーティーピー〉とは
肝臓や胆道の細胞にある酵素。お酒を多く飲む人や、胆汁の流れが滞った人で高くなる。
- 1
血小板数の増加不正解
重症膵炎では血小板数はむしろ減少しうる。
- 2
血清LDH値の低下不正解
炎症に伴い血清LDHは上昇するのが一般的で、低下ではない。
- 3
血清γ-GTP値の低下不正解
アルコール多飲例ではγ-GTPは上昇しうるもので、低下は予測されない。
- 4
血清アミラーゼ値の上昇正解
膵酵素の血中逸脱により血清アミラーゼ値が上昇し、急性膵炎の重要な所見である。
- 5
血清カルシウム値の上昇不正解
遊離脂肪酸がカルシウムと結合し低カルシウム血症を生じうるため、上昇は予測されない。
📚 国試でよく狙われるところ
急性膵炎は、検査値・治療・楽になる姿勢を入れ替えて問われる。上がるのはアミラーゼ・リパーゼ、下がるのはカルシウム、と値の向きで整理しておくと選びやすい。 急性膵炎は膵酵素による膵の自己消化で、原因は男性でアルコール、女性で胆石が多い。
- 血清アミラーゼは発症後数時間で上昇し2〜3日で低下、リパーゼはより特異度が高く高値が持続する
- 重症例では低カルシウム血症(脂肪壊死でカルシウムが消費される)、播種性血管内凝固(DIC〈ディーアイシー〉)、循環不全を伴う
- 治療=絶飲食と十分な輸液、除痛、感染対策。急性期は膵の安静が原則
- 痛みは前屈位(膝胸位)で軽減し、仰臥位で増強するのが特徴
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について