第110回 看護師国家試験 午前 問78 解説
📝 問題
Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群で正しいのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ ギラン・バレー症候群では抗ガングリオシド抗体が出現する
ギラン・バレー症候群は、多くが先行感染(上気道感染や下痢など、カンピロバクター腸炎が代表)の後に生じる自己免疫性の急性炎症性脱髄性多発根神経炎である。末梢神経のガングリオシドに対する自己抗体(抗ガングリオシド抗体)が出現し、末梢神経を障害する。 臨床的には左右対称性・下肢からの上行性の弛緩性運動麻痺が特徴である。
他の選択肢は誤りである。若年者に多いというより幅広い年齢で発症する。遺伝性疾患ではなく後天性の自己免疫性疾患である。病因の主座は末梢神経(髄鞘)であり骨格筋そのものではない。症状に日内変動があるのは重症筋無力症の特徴であり、ギラン・バレー症候群の特徴ではない。
国試ではギラン・バレー症候群(先行感染・上行性弛緩性麻痺・抗ガングリオシド抗体・治療は血漿交換や免疫グロブリン大量療法)が頻出である。日内変動をもつ重症筋無力症との鑑別を押さえておくとよい。
髄鞘とは
神経の線維を包む、電線の被覆のような膜。ここが壊れると信号の伝わりが遅くなり、力が入らなくなる。
血漿交換とは
血液から血漿を抜き取り、置換液と入れ替える治療。血液中に増えた自己抗体を減らす目的で行う。
- 1
若年者に多い。不正解
若年者に限らず幅広い年齢で発症し、若年者に多いとはいえない。
- 2
遺伝性疾患である。不正解
遺伝性疾患ではなく、先行感染を契機とする後天性の自己免疫性疾患である。
- 3
骨格筋に病因がある。不正解
病因の主座は末梢神経(髄鞘)であり、骨格筋そのものではない。
- 4
症状に日内変動がある。不正解
症状に日内変動があるのは重症筋無力症の特徴である。
- 5
抗ガングリオシド抗体が出現する。正解
末梢神経のガングリオシドに対する抗ガングリオシド抗体が出現する。
📚 混同しやすいので注意
Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群と重症筋無力症は、症状だけを示してどちらの疾患かを選ばせる形で出る。障害される場所と経過の2点で切り分けよう。 Guillain-Barré症候群は進行すると呼吸筋麻痺をきたし人工呼吸管理を要することがあるため、呼吸状態(努力呼吸・肺活量・咳嗽力)の観察が重要である。
| Guillain-Barré症候群 | 重症筋無力症 | |
|---|---|---|
| 病変の部位 | 末梢神経(髄鞘) | 神経筋接合部(アセチルコリン受容体) |
| 自己抗体 | 抗ガングリオシド抗体 | 抗アセチルコリン受容体抗体(抗MuSK抗体) |
| 経過 | 先行感染の後に急性発症し、単相性に経過する | 慢性で日内変動がある(夕方や疲労時に増悪) |
| 特徴的な所見 | 左右対称性・上行性の弛緩性麻痺、腱反射の消失 | 眼瞼下垂・複視、易疲労性、胸腺腫の合併 |
| 検査 | 髄液の蛋白細胞解離 | 反復刺激試験(waning)、抗体測定、胸部CT |
| 治療 | 免疫グロブリン大量静注療法、血漿交換 | 抗コリンエステラーゼ薬、副腎皮質ステロイド、胸腺摘除術 |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について