第110回 看護師国家試験 午前 問42 解説
📝 問題
A さん(50歳、男性)は肝硬変と診断され、腹水貯留と黄疸がみられる。A さんに指導する食事内容で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 肝硬変で腹水・黄疸があるため塩分の少ない食事が適切。
肝硬変では肝機能低下により低アルブミン血症や門脈圧亢進が起こり、腹水や浮腫を生じる。腹水がある場合、ナトリウムと水分の貯留を助長しないよう塩分(ナトリウム)を制限した食事が基本となる。 塩分の少ない食事が適切である。
他の選択肢は肝硬変の病態に合わない。黄疸や消化機能の低下があるため、脂肪分の多い食事は消化に負担がかかる。 蛋白質は、高アンモニア血症や肝性脳症のリスクがある時期にはむしろ制限が必要になるので、一律に多く勧めることはできない。 便秘は腸内でのアンモニアの産生・吸収を促して肝性脳症を誘発しうるため、食物繊維はむしろ確保したい。
肝硬変の食事療法は、塩分制限・病期に応じた蛋白調整・便通管理がポイントである。
低アルブミン血症とは
血液中のアルブミンが減った状態。アルブミンは血管の中に水を引きとめる役目をもつので、減ると水が漏れ出てむくみや腹水になる。
肝性脳症とは
肝臓で処理しきれなくなったアンモニアが脳に届いて起こる。意識がもうろうとしたり、手が羽ばたくようにふるえたりする。
- 1
塩分の少ない食事正解
腹水・浮腫があるため、ナトリウムと水分貯留を抑える塩分制限が適切である。
- 2
脂肪分の多い食事不正解
黄疸・消化機能低下があり、脂肪分の多い食事は消化に負担で不適切である。
- 3
蛋白質の多い食事不正解
肝性脳症のリスクがあれば蛋白制限が必要で、一律に高蛋白を勧めない。
- 4
食物繊維の少ない食事不正解
便秘は肝性脳症を誘発しうるため、食物繊維はむしろ確保したい。
📚 国試でよく狙われるところ
肝硬変は、非代償期に現れる症状と、そのときの食事・生活の指導をつなげて問われる。症状ごとに「何を避けるか」で覚えよう。
- 非代償期の症状は腹水・黄疸・食道静脈瘤・肝性脳症。
- 身体所見にくも状血管腫・手掌紅斑・女性化乳房がある。
- 腹水には安静・塩分制限・利尿薬・アルブミン製剤で対応し、毎日の体重と腹囲を測定して効果をみる。
- 食道静脈瘤破裂は大量吐血をきたす緊急事態。怒責・便秘・硬い食物を避けるよう指導する。
- 肝性脳症の予防には便通の管理が重要で、ラクツロースが用いられる。
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について