第110回 看護師国家試験 午前 問117 解説

状況設定在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

A さん(78歳、男性)は、脳血管障害後遺症による右片麻痺があり要介護2で、ポータブルトイレを利用している。A さんは入院したが、状態が安定し入院後3日で退院することが決まった。長女が「父が退院したら、母の腰痛が心配なので、私が父のポータブルトイレへの移動を手伝いたいと思います。介助の方法を教えてください」と訪問看護師に相談があった。 訪問看護師が長女に指導するベッドからポータブルトイレへの移乗の介助方法で正しいのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 立ち上がりの際は前傾姿勢をとってもらうと重心移動が容易になり移乗しやすい。

ベッドからポータブルトイレへの移乗では、立ち上がるときに体を前傾させると重心が足部の上に移り、殿部が浮いて立位に移りやすくなる。 立ち上がる際に前傾姿勢になってもらうのが正しい介助方法である。

他の選択肢は原則と逆である。ポータブルトイレは健側に置いて健側の方向へ回るように移乗し、介助者は転倒しやすい麻痺(患)側に立って支える。 向きを変えるときにズボンのウエストを持つと、ずり上がって皮膚や陰部を傷つけ、姿勢も不安定になるため、腰や体幹を支えるようにする。

健側とは

麻痺のない側のこと。反対の麻痺した側は患側という。健側にも負担が集中するため、痛みや疲れが出ていないかも確認する。

  • 1

    ポータブルトイレをA さんの麻痺側に設置する。不正解

    ポータブルトイレは健側に設置するのが原則で、麻痺側は誤り。

  • 2

    ベッドから立ち上がる際はA さんに前傾姿勢になってもらう。正解

    前傾姿勢で重心が足部へ移り殿部が浮きやすく、立ち上がりが容易になる。

  • 3

    A さんの健側に立って介助する。不正解

    介助者は転倒しやすい麻痺(患)側に立って支えるのが基本。

  • 4

    A さんの向きを変えるときはズボンのウエスト部分を持つ。不正解

    ズボンのウエストを持つとずり上がりや皮膚損傷を招き不適切。

📚 国試でよく狙われるところ

片麻痺の介助は、健側と患側のどちらを使うかを入れ替えて問われる。「動くのは健側、支えるのは患側」と対にして覚えよう。 片麻痺のある人の移乗は健側を使って動くのが原則である。ベッド・車椅子・ポータブルトイレは健側に置き、健側の方向へ回るように誘導する。

  • 介助者は患側(麻痺側)に立ち、転倒を防ぎながら支える
  • 立ち上がりは浅く座り直し、足を手前に引き、前傾姿勢で重心を足部へ移す
  • 支える場所は腰・骨盤や体幹。ズボンのウエストを引き上げない(皮膚損傷と不安定を招く)
  • ボディメカニクス=支持基底面を広くとり、重心を低くし、対象に近づき、大きな筋群を使い、てこ・回転を利用する
  • 杖歩行は杖→患側の足→健側の足の3動作歩行。階段は手すりを使いながら昇りは健側から、降りは杖・患側から

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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