第109回 看護師国家試験 午後 問99 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 A さん(72歳、男性)は右中大脳動脈領域の脳梗塞後、介護老人保健施設に入所した。半側空間無視がある。入所後3日、A さんは入浴した。A さんは自分で脱衣し、体を洗えたが、洗い残した部分を看護師が介助した。入浴後に看護師が A さんに服を手渡すと、A さんは戸惑った表情で服を丸めたり広げたりしている。 A さんへの更衣援助で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 半側空間無視による着衣の混乱には、服を着やすい向きに持たせて手がかりを与える。
半側空間無視のあるAさんは、服の前後や袖の位置をつかみにくく、着衣に戸惑っている。 右の頭頂葉が傷つくと、服と体の位置関係が分からなくなる着衣失行も重なりやすい。 看護師が着やすい向き(前後・上下・袖口が分かる向き)に整えて手渡すと、どこに腕を通せばよいかの手がかりになり、Aさん自身の力で着られる。 できる動作は代わりにやらず、足りないところだけを補うのが更衣の援助である。
他の選択肢は、戸惑いの原因に届かない。 着替え始めるまで待っても、向きが分からない状態は変わらない。 伸縮性のある素材やマジックテープは、腕が上がりにくい人やボタンをつまみにくい人への工夫である。
着衣失行とは
手足は動かせるのに、服の前後や裏表、どこに腕を通すのかが分からなくなり、着替えられなくなる状態。
- 1
着替え始めるまで待つ。不正解
戸惑って混乱している状況で待つだけでは援助にならず、自立も促せない。
- 2
伸縮性のある素材の服を渡す。不正解
伸縮素材は着脱を容易にする工夫だが、向きが分からず戸惑う原因への対応ではない。
- 3
服を着やすい向きに持たせる。正解
着やすい向きに持たせて手がかりを与えることで、残存機能を活かして更衣できる。最も適切。
- 4
ボタンをマジックテープに変えた服を渡す。不正解
マジックテープはボタン操作困難への工夫で、向きの認識困難という本例の問題には対応しない。
📚 ここも一緒におさえておこう
更衣の援助は、できる動作を奪わないことが原則。 片麻痺がある場合は脱健着患(脱ぐときは健側から、着るときは患側から)で行う。
- 着衣失行(前後・裏表・袖口が分からない)には、向きを整えて渡す・着る順に重ねて渡すといった手がかりが有効
- ボタン操作が難しい場合はマジックテープや大きめのボタン、かぶり式の衣類に変更する
- 肩や腕が上がりにくい人には前開きで伸縮性のある衣類を選ぶ
- 声かけは一度に一つの動作を短い言葉で伝え、できたことを確認しながら進める
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について