第109回 看護師国家試験 午後 問91 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。 A さん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5 kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。嗜好品:飲酒はビール700 ml/日を週5日。趣味:ジョギングとヨガ。 A さんの甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 甲状腺腫瘍の確定診断には穿刺吸引細胞診が必要である。
甲状腺腫瘍が良性か悪性かを確かめるには、腫瘍の細胞を直接採って顕微鏡で見る穿刺吸引細胞診が欠かせない。 超音波ガイド下で細い針を腫瘍に刺し、吸い出した細胞を病理検査で評価する。 Aさんの超音波検査では石灰化が認められており、微細石灰化は乳頭癌を疑う所見である。 良性か悪性かは、細胞診で確かめるほかない。
血中サイログロブリン値や画像検査(エックス線・CT)は、腫瘍があることやどこまで広がっているかを見るには役立つが、細胞のレベルで良悪性を決めることはできない。
国試では「確定診断=組織・細胞を採る検査」という原則が繰り返し問われる。
サイログロブリンとは
甲状腺の細胞だけが作るタンパク。甲状腺を全部取ったあとに血液中で増えれば、癌の再発を疑う手がかりになる。
- 1
血中サイログロブリン値検査不正解
サイログロブリンは甲状腺分化癌の腫瘍マーカー・術後経過観察に用いるが、良悪性の確定診断には使えない。
- 2
頸部エックス線撮影不正解
頸部エックス線は気管の偏位や石灰化の概観に留まり、腫瘍の性状は判定できない。
- 3
穿刺吸引細胞診正解
細胞を直接採取して病理評価するため、良悪性を確定できる。甲状腺腫瘍の確定診断の第一選択。
- 4
頸部 CT不正解
CTは腫瘍の進展範囲・周囲組織との関係の評価には有用だが、確定診断はできない。
📚 関連知識
| 組織型 | 特徴 |
|---|---|
| 乳頭癌 | 甲状腺癌の約90%を占め最も多い。リンパ節転移しやすいが予後は良好 |
| 濾胞癌 | 血行性に肺・骨へ転移しやすい。細胞診では良悪性の判定が難しい |
| 髄様癌 | 傍濾胞細胞(C細胞)由来。カルシトニン・CEAが腫瘍マーカー。多発性内分泌腫瘍症(MEN2型)に合併することがある |
| 未分化癌 | 高齢者に多く、急速に増大して予後は極めて不良 |
| 悪性リンパ腫 | 橋本病(慢性甲状腺炎)を背景に発生することがある |
確定診断は穿刺吸引細胞診。血中サイログロブリンは分化癌の術後経過観察・再発の指標として用いる。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について