第109回 看護師国家試験 午前 問92 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

悪性胸膜中皮腫で症状コントロール目的に入院中の A さん(60歳、男性)。両側下肺野で呼吸音が減弱し、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)86〜90 %(room air)であった。入院後、症状緩和のためモルヒネの内服と経鼻カニューレによる酸素療法2L/分が開始された。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は95 %前後で維持されるようになったが、A さんは夜間の息苦しさを訴えている。 A さんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 呼吸困難緩和にはセミファウラー位が適切である。

呼吸困難のある患者では、上半身を起こした体位(セミファウラー位・ファウラー位)が最も安楽である。 上体を起こすと横隔膜が下降し、腹部の臓器に押し上げられることも減るため、肺が広がって換気効率が改善する。 夜間の息苦しさにも、就寝時に上半身を軽く起こしておくと呼吸が楽になる。

側臥位は下になった側の肺が広がりにくく、本症例のように両側の下肺野で呼吸音が減弱している場合は、左右どちらを下にしても有利にならない。 腹部を圧迫する姿勢も、横隔膜の動きを妨げるため呼吸困難には向かない。

  • 1

    半腹臥位不正解

    半腹臥位は腹部が圧迫され横隔膜運動が制限されるため、呼吸困難の緩和には不適切。

  • 2

    右側臥位不正解

    右側臥位は右肺を圧排し、両側病変のある本症例で選ぶ根拠がない。

  • 3

    左側臥位不正解

    左側臥位は左肺を圧排し、換気改善につながらない。

  • 4

    セミファウラー位正解

    上半身挙上で横隔膜が下降し肺が拡張しやすくなり、呼吸困難を緩和できる。

📚 丸暗記より仕組みで覚えよう

体位の問題は、上体を起こすほど横隔膜が下がるという一本の原則で解ける。名称と角度の目安を対にして覚えよう。

  • 心不全による呼吸困難では起坐位をとると静脈還流が減って肺うっ血が軽くなり、呼吸が楽になる(起坐呼吸)。
  • 片側の肺に病変があるときは健側を下(患側を上)にすると、換気・血流のよい肺が広がりやすい。
  • 終末期の呼吸困難にはモルヒネ(呼吸中枢の感受性を下げ、呼吸困難感を和らげる)や顔面への送風も用いられる。
  • 姿勢の工夫に加え、室温・湿度の調整、衣類や寝具による圧迫を避けること、不安の緩和も呼吸困難をやわらげる。
体位の名称と上体の角度の目安
体位上体の角度主な用途
仰臥位0度安静、多くの処置
セミファウラー位15〜30度呼吸を楽にする、経管栄養時の逆流予防
ファウラー位(半坐位)45度前後呼吸困難時、食事、洗面
起坐位ほぼ90度(前傾して支える)起坐呼吸(心不全、重い呼吸困難)

角度は文献により幅がある。上体を起こすほど横隔膜が下がる、という関係で理解する。

出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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