第108回 看護師国家試験 午後 問99 解説
📝 問題
Aさん(82歳、女性)は、Alzheimer(アルツハイマー)型認知症で、認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉に入所している。脱水で入院し、点滴静脈内注射が行われた。 入院後3日。Aさんは開始された食事を全量摂取し、活気が出てきた。Aさんは自ら水分を摂ることはなかったが、看護師がお茶を勧めると、少量ずつ摂取している。体重47 kg。Aさんの尿の性状は淡黄色で尿臭はなく、血液検査データは改善して基準値となったため、点滴静脈内注射が中止となり、退院が決まった。 Aさんが外来受診時と同じ状態を起こさないために、看護師が介護職員に伝える予防策で適切なのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 脱水の再発予防には、食事に含まれる水分も合わせて1日約1,300 mLの水分摂取を確保することが適切である。
Aさんは高張性脱水で入院して改善したが、自分から水分をとることが少ない。 高齢者は口渇を感じにくく、意識して飲まないと簡単に脱水に戻ってしまう。 退院後に同じことを繰り返さないためには、計画的な水分補給が必要である。 食事に含まれる水分も合わせて1日約1,300 mLを目安に確保するよう、介護職員に伝えるのが具体的な予防策になる。 高齢者の必要水分量は体重や活動で変わるが、食事の水分を含めて1日1,000〜1,500 mL程度が目安とされる。
他の4つは、脱水の予防にはならない。 室温30 ℃では発汗が増え、失う水分が多くなる。 高張性脱水で足りないのは水分で、食塩8 g/日を勧める場面ではない。 カフェインには利尿作用があり、飲んだ分が尿として出ていく。 熱の放散を抑える衣類は体に熱をこもらせ、やはり発汗を増やす。
- 1
室温は30 ℃に保つ。不正解
室温30 ℃は発汗による不感蒸泄を増やしうつ熱・脱水を助長するため、脱水予防策として不適切である。
- 2
8 g/日の食塩を摂取する。不正解
8 g/日の食塩摂取は過剰で高張性脱水を悪化させる方向であり、必要なのは十分な水分補給である。
- 3
カフェインを含む水分を摂取する。不正解
カフェインは利尿作用があり水分排泄を促すため、脱水予防のための水分補給には適さない。
- 4
熱の放散を抑制する衣類を選択する。不正解
熱の放散を抑える衣類はうつ熱・発汗を招き脱水を助長するため、予防策として不適切である。
- 5
食事を含めて1,300 mL/日の水分を摂取する。正解
食事を含めて1日約1,300 mLの水分摂取を確保することは、口渇を感じにくい高齢者の脱水再発予防に適切である。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者は脱水になりやすい条件がそろっているため、口渇の訴えを待たない水分補給の計画が必要になる。
- 高齢者が脱水になりやすい理由=体内水分量の減少・口渇中枢の感受性低下・腎の尿濃縮力低下
- 失禁を気にして飲水を控える、日常生活動作〈ADL〉の低下で自分から飲めない、なども背景となる
- 利尿薬・下剤の服用や発熱・下痢は脱水の誘因になる
- 施設では決まった時間に勧めるなど、量と回数を計画に組み込むと確実
- カフェイン飲料やアルコールは利尿作用があり、水分補給には適さない
参考: 日本老年医学会「高齢者の脱水症の診療指針」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について