第108回 看護師国家試験 午後 問42 解説

一般成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(64歳、男性)は、2年前に前立腺癌と診断され、内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎転移と診断された。 Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 前立腺癌の腰椎転移による体動時の腰痛として最も考えられるのは「体性痛」である。

がん性疼痛は、体性痛・内臓痛・神経障害性疼痛に大きく分けられる。腰椎(骨)への転移による痛みは、骨や骨膜、筋・筋膜といった体性組織に生じる侵害受容性疼痛で、体性痛にあたる。 体性痛は痛む場所がはっきりしていて、体を動かすと強くなる(体動時痛)のが特徴である。Aさんの「体動時に強くなる腰部痛」はこれに合う。

他の選択肢を区別する。内臓痛は管腔臓器や実質臓器から起こる痛みで、場所がはっきりせず、鈍い・締めつけられるような痛みになる。 関連痛は、痛みのもとになっている臓器から離れた体表に感じる痛みである。 中枢痛は脳や脊髄など中枢神経の障害による痛みである。 骨転移の痛み=体性痛、と結びつけて覚える。

侵害受容性疼痛とは

けがや炎症でできた物質が、痛みを感じる神経の末端を刺激して起こる痛み。体性痛と内臓痛がこれにあたる。

  • 1

    関連痛不正解

    関連痛は障害部位から離れた体表に感じる痛みで、局在明瞭な骨転移痛とは異なる。

  • 2

    体性痛正解

    骨(腰椎)転移による痛みは体性組織由来の体性痛で、体動時に増強する特徴に合致する。

  • 3

    中枢痛不正解

    中枢痛は脳・脊髄など中枢神経の障害による痛みで、骨転移痛には当てはまらない。

  • 4

    内臓痛不正解

    内臓痛は局在が不明瞭で鈍い痛みが特徴であり、限局した体動時の骨痛とは異なる。

📚 関連知識

がん疼痛の分類と特徴
分類性状例治療の特徴
体性痛(侵害受容性)局在が明瞭、うずくような痛み、体動時に増強骨転移、術後創部痛非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)・オピオイド、放射線治療、レスキュー薬の予防的使用、骨転移にはビスホスホネート製剤
内臓痛(侵害受容性)局在が不明瞭、鈍い、締めつけられる肝転移による腹部膨満、腸閉塞オピオイドが比較的よく効く
神経障害性疼痛しびれるような・灼けるような痛み、電撃痛神経叢浸潤、脊髄圧迫鎮痛補助薬(抗けいれん薬・抗うつ薬)を併用

世界保健機関(WHO)の鎮痛薬使用の原則は「経口的に・時刻を決めて・患者ごとに・細かい配慮を」。痛みは患者の主観であり、本人の訴えを基準に評価する。

参考: 日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法ガイドライン/系統看護学講座 緩和ケア

出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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