第108回 看護師国家試験 午後 問103 解説
📝 問題
Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1 ℃であった。 浣腸後に想定される反応便はどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 腸重積症では腸管の血流障害により、粘血便であるイチゴゼリー様便がみられる。
腸重積症は、口側の腸管が肛門側の腸管に入り込む病気である。入り込んだ部分の腸間膜が締めつけられて血流が滞り、腸の粘膜がうっ血して出血する。 生後10か月で間欠的啼泣(15〜20分ごとに激しく泣いては泣き止む)と嘔吐がみられる本例は典型的で、進行すると血液と腸粘液が混じった「イチゴゼリー様便(粘血便)」が出る。 浣腸後の反応便として想定されるのは、この便である。
他の選択肢は、いずれも別の病態を示す便である。 タール便は上部消化管からの出血、灰白色便は胆汁が腸に出ていないこと、米のとぎ汁様便はコレラ、兎糞便は便秘を示す。
- 1
兎糞便不正解
兎糞便は硬く小さいコロコロした便で便秘の所見であり、腸重積症の反応便ではない。
- 2
タール便不正解
タール便(黒色便)は上部消化管出血で血液が胃酸で変性したもので、腸重積の粘血便とは異なる。
- 3
灰白色便不正解
灰白色便は胆汁排泄障害(胆道閉鎖など)を示す所見で、腸重積症とは関連しない。
- 4
米のとぎ汁様便不正解
米のとぎ汁様便はコレラに特徴的な水様便で、腸重積症の血便とは性状が異なる。
- 5
イチゴゼリー様便正解
腸重積症では腸管の血流障害と粘膜出血により、血液と粘液が混じったイチゴゼリー様便がみられる。
📚 国試でよく狙われるところ
腸重積症は、症状の組合せと便の性状で見分けさせる形で問われる。便の見た目と病気を対にして、表ごと覚えておく。
- 腸重積症の三徴=間欠的啼泣(腹痛)・嘔吐・血便
- 好発は乳児期後半(生後3か月〜2歳ごろ)で、健康だった児に突然起こる
| 便の性状 | 考えられる病態 |
|---|---|
| イチゴゼリー様便(粘血便) | 腸重積症 |
| タール便(黒色便) | 上部消化管出血(胃・十二指腸潰瘍など) |
| 灰白色便 | 胆道閉鎖症など胆汁排泄障害、ロタウイルス性胃腸炎 |
| 米のとぎ汁様便 | コレラ |
| 兎糞便 | 便秘 |
| 鮮血便 | 下部消化管出血、裂肛 |
参考: 日本小児外科学会「小児外科疾患の診療指針」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について