第108回 看護師国家試験 午前 問49 解説
📝 問題
Crohn〈クローン〉病の患者の食事指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ クローン病では低脂肪・低残渣で高蛋白・高エネルギーの食事が基本となるため、蛋白質の多い食事を勧めるのが適切である。
クローン病は消化管の炎症性疾患で、寛解維持には腸管への刺激と負担を減らすことが重要である。 消耗しやすい栄養状態を補うため、食事は低脂肪・低残渣を前提に高蛋白・高エネルギーとするのが基本となる。
他の3つは、脂肪・食物繊維・炭水化物の扱いが逆になっている。 脂肪は炎症や下痢を悪化させやすいため制限する。食物繊維(残渣)の多い食事は狭窄部で通過障害や刺激となるため控える。炭水化物は主要なエネルギー源であり、活動期以外で一律に制限する必要はない。
食事の要点は「低脂肪・低残渣・高蛋白・高エネルギー」の4つ。 潰瘍性大腸炎も低脂肪・低残渣が基本である。
- 1
「食物繊維を多く含む食事にしましょう」不正解
食物繊維(残渣)の多い食事は狭窄部の刺激・通過障害となるため控えるべきである。
- 2
「蛋白質の多い食事にしましょう」正解
低脂肪・低残渣を前提に高蛋白の食事とするのが基本で、蛋白質を多くする指導は適切である。
- 3
「脂肪分の多い食事にしましょう」不正解
脂肪は炎症・下痢を悪化させるため制限すべきで、脂肪分の多い食事は不適切である。
- 4
「炭水化物を控えましょう」不正解
炭水化物は主要なエネルギー源であり、一律に控える必要はない。
📚 混同しやすいので注意
クローン病と潰瘍性大腸炎は、病変の場所と広がりを入れ替えて問われる。どこにできるか・どこまで深いかを対にして覚えよう。 どちらも指定難病の炎症性腸疾患で、若年成人に好発し、寛解と再燃を繰り返す。
- クローン病の栄養療法では成分栄養剤(エレンタール)が用いられる。
- 狭窄がある場合は食物繊維を控え、腹痛・嘔吐など閉塞症状の出現に注意する。
- 治療には5-ASA製剤・ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤が用いられる。
| 項目 | クローン病 | 潰瘍性大腸炎 |
|---|---|---|
| 好発部位 | 口腔から肛門までの全消化管(特に回盲部) | 大腸のみ(直腸から連続性に口側へ) |
| 病変の分布 | 非連続性(skip lesion)、縦走潰瘍・敷石像 | 連続性・びまん性、びらん・偽ポリープ |
| 炎症の深さ | 全層性 | 粘膜・粘膜下層 |
| 特徴的な合併症 | 瘻孔、狭窄、肛門病変(痔瘻) | 中毒性巨大結腸症、長期経過での大腸癌 |
| 主な症状 | 腹痛、下痢、発熱、体重減少 | 粘血便、下痢、しぶり腹(テネスムス) |
| 食事 | 低脂肪・低残渣・高蛋白・高エネルギー、成分栄養 | 活動期は低脂肪・低残渣 |
参考: 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン(栄養療法)/系統看護学講座 消化器疾患患者の看護
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について