第107回 看護師国家試験 午後 問93 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。 A さん(62歳、男性)。1人暮らし。特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。 入院後18日。A さんは2日後に自宅へ退院することとなった。A さんは「病院に来る前は、息苦しくて死ぬかと思った。あのような思いはもうしたくない。家に帰ってまた息苦しくならないか不安だ」と言う。 A さんが症状を自己管理できるように指導する内容で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 腹式呼吸を習慣にして一回換気量を増やすことが、呼吸困難の自己管理として適切である。
間質性肺炎では肺が膨らみにくく、浅く速い呼吸になりやすい。 腹式(横隔膜)呼吸を習慣にすると、横隔膜を大きく動かして一回換気量を増やせるので、呼吸が効率よくなり息苦しさがやわらぐ。 退院後も自宅で続けやすく、「また息苦しくならないか不安だ」というAさんの訴えに応える指導になる。
他の選択肢は、この症例には合わない。 肩まで湯に浸かると水圧で胸郭が動きにくくなるので、入浴は半身浴とする。 前傾姿勢は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の呼吸困難に有効な姿勢で、拘束性障害のAさんでは第一選択にならない。 仰臥位では横隔膜が押し上げられて呼吸面積が減るため、息苦しいときは起座位・セミファウラー位をとる。
- 1
習慣的に腹式呼吸をする。正解
腹式呼吸の習慣化は横隔膜を活用し一回換気量を増やすため、拘束性障害の呼吸困難の自己管理に適切である。
- 2
入浴時は肩まで湯に浸かる。不正解
肩まで湯に浸かると水圧で胸郭・横隔膜運動が制限され呼吸困難を招く。半身浴が望ましい。
- 3
動作時は前傾姿勢を保持する。不正解
前傾姿勢はCOPDなど閉塞性障害の呼吸困難時に有効な体位で、拘束性障害の本症例では最適ではない。
- 4
息苦しくなったら仰臥位を保持する。不正解
仰臥位は横隔膜が挙上し呼吸面積が減るため息苦しさが増す。起座位・セミファウラー位が適切である。
📚 ここも一緒におさえておこう
呼吸困難への対応は、呼吸法・体位・日常生活の3つの場面に分けて問われる。場面ごとに何をするかを1つずつ結び付けて覚えよう。
- 呼吸困難時の体位は起座位・セミファウラー位(横隔膜が下がり呼吸面積が増える)
- 入浴は半身浴とする。肩まで浸かると水圧で胸郭運動が制限される
- 在宅酸素療法中は指示された流量を守り、労作時の流量変更は医師の指示に従う
- 感染は急性増悪の誘因となるためインフルエンザ・肺炎球菌ワクチンや手指衛生を勧める
| 型 | 代表疾患 | 有効な呼吸法・体位 |
|---|---|---|
| 拘束性 | 間質性肺炎・肺線維症 | 腹式(横隔膜)呼吸で一回換気量を増やす |
| 閉塞性 | COPD・気管支喘息 | 口すぼめ呼吸、前傾姿勢(起座呼吸位) |
参考: 日本呼吸器学会「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について