第107回 看護師国家試験 午前 問87 解説
📝 問題
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症について適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・4
💡 解説
✅ HIV感染症では適切な対応で母子感染率を下げることができ、性行為時のコンドーム使用を指導することが適切である。
HIVの母子感染は、妊娠中の抗ウイルス療法、選択的帝王切開、児への予防投与、人工栄養などの適切な対応により感染率を大きく低下させることができる。 性的接触が主要な感染経路であるため、性行為の際に必ずコンドームを使用するよう指導することは感染予防上適切である。
国試ではHIVと後天性免疫不全症候群の基本知識と、患者の権利が問われる。 病名告知は本人の同意が前提で、本人より先に家族へ行ってはならない(守秘義務・自己決定権)。 国内の感染経路は、異性間より同性間の性的接触が多い。 HIVに感染していることと後天性免疫不全症候群を発症していることは別で、指標疾患の合併がAIDS診断の条件になる。
指標疾患とは
HIVに感染した人がAIDSと診断される目安になる23の病気。ニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫などが含まれる。
- 1
本人より先に家族に病名を告知する。不正解
病名告知は本人の同意が前提であり、本人より先に家族へ告知することは不適切である。
- 2
国内では異性間性的接触による感染が最も多い。不正解
国内では従来、男性同性間の性的接触による感染が最も多い。
- 3
適切な対応によって母子感染率を下げることができる。正解
抗ウイルス療法などの適切な対応で母子感染率を下げられる。
- 4
性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。正解
性的接触が主要な感染経路であり、コンドームの使用指導は感染予防上適切である。
- 5
HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断できる。不正解
HIV感染は直ちにAIDSを意味せず、特定の指標疾患を合併して初めてAIDSと診断される。
📚 ここも一緒におさえておこう
HIV感染症は、感染経路・免疫が下がる目安・AIDSの診断・治療の4点が問われる。数値と病名をセットで覚えよう。
- HIVはCD4陽性Tリンパ球に感染して数を減らし、細胞性免疫が低下する
- 感染経路は性的接触・血液・母子感染の3つ(血液は注射器の共用や針刺しなど)で、日常生活の接触や唾液・汗では感染しない
- CD4数が200/μL未満になるとニューモシスチス肺炎などの日和見感染症を起こしやすい
- 23の指標疾患のいずれかを合併した時点でAIDSと診断される
- 治療は多剤併用の抗レトロウイルス療法(ART)で、服薬の継続によりウイルス量を抑え、免疫能を保てる
参考: 厚生労働省「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について