第106回 看護師国家試験 午後 問87 解説
📝 問題
医療現場における暴力について正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 医療現場の暴力にはあらかじめ定めた暴力予防プログラムに沿って対処し、発生の防止には組織的な体制の整備が重要である。
医療現場の暴力は、受けた職員が一人で抱える問題ではなく、組織で防ぎ、組織で対応するものとして扱う。
そのために病院はあらかじめ暴力予防プログラムを作っておく。誰に連絡し、どう応援を呼び、どこへ避難し、何を記録して報告するかを決めておけば、その場に居合わせた職員が迷わず動ける。教育と訓練、危険を減らす環境づくり、被害を受けた職員への支援までを含めて組織的な体制として整えることが、発生の防止につながる。
他の選択肢は、暴力を狭くとらえている。暴力は精神科に限らず、救急外来や一般病棟、在宅の場面でも起こる。待ち時間の長さ・騒音・照明・人の密集といった環境は誘因になり、整えることで発生を減らせる。暴力を目撃した職員も強い不安や無力感を抱えるため、目撃者も被害者として支援の対象に含める。
- 1
精神科に特有のものである。不正解
暴力はどの診療科でも起こる。救急外来や一般病棟、在宅の場面でも報告されており、精神科に限った問題ではない。
- 2
病室環境は誘因にならない。不正解
病室や待合の環境は誘因になる。待ち時間の長さ、騒音、まぶしさや暗さ、人の密集、プライバシーの乏しさは、いらだちを高める。
- 3
目撃者は被害者に含まれない。不正解
暴力を目撃した職員も恐怖や無力感などの影響を受ける。被害者に含めて心理的な支援の対象とする。
- 4
暴力予防プログラムに合わせて対処する。正解
暴力予防プログラムは、連絡・応援・避難・記録・報告の手順をあらかじめ決めておくもので、これに沿って動くことで個人の判断に頼らずに対処できる。
- 5
発生を防止するためには組織的な体制の整備が重要である。正解
教育と訓練、環境の整備、報告の仕組み、被害者への支援を組織として整えることが、暴力の発生を防ぐ土台になる。
📚 ここも一緒におさえておこう
医療現場の暴力は、起きたあとの対応より「起きる前の備え」が問われる。備え・その場の動き・あとの支援の3段階で整理しよう。
- 備え=暴力を許さない方針の掲示、危険を減らす環境づくり、職員への教育と訓練。
- その場=まず自分と周囲の安全を確保し、応援を呼んで複数で対応する。距離をとり、刺激を避ける。
- あと=事実を記録して報告し、被害者と目撃者の心身のケアにつなげる。
参考: 看護の統合と実践(医療安全と職場環境)/日本看護協会「保健医療福祉施設における暴力対策指針」
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について