第106回 看護師国家試験 午後 問86 解説
📝 問題
Aさん(50歳、女性)は、急に体が熱くなったり汗をかいたりし、夜は眠れなくなり疲れやすさを感じるようになった。月経はこの1年間で2回あった。Aさんのホルモンで上昇しているのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 更年期には卵巣の働きが落ちてエストロゲンが減り、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンが上昇する。
Aさんは50歳で、体が急に熱くなる・汗をかく・眠れない・疲れやすいという症状があり、この1年の月経は2回だけである。更年期の経過とみてよい。ほてりや発汗(ホットフラッシュ)は、エストロゲンが減って自律神経の調節が乱れるために起こる。
更年期には卵巣の働きが落ち、卵胞から出るエストロゲンが減る。すると脳の下垂体が卵巣をもっと働かせようとして指令を強め、卵胞刺激ホルモン〈FSH〉と黄体形成ホルモン〈LH〉がどちらも上昇する。足りないものを増やそうとして上流の指令が強まる、負のフィードバックの働きである。 とくに卵胞刺激ホルモンの上昇は早く現れ、閉経が近いことの目安になる。
他の選択肢は下がるか、更年期と関わらない。エストロゲンは減少し、排卵が起こらなくなるため黄体から出るプロゲステロンも減る。プロラクチンは乳汁を出すためのホルモンで、更年期ではなく授乳期に高くなる。
負のフィードバックとは
体の中のホルモンが足りなくなると上流の司令塔が分泌の指令を強め、多すぎると指令を弱めるしくみ。
- 1
エストロゲン不正解
エストロゲンは卵胞から出るホルモンで、卵巣の働きが落ちる更年期には減少する。ほてりや発汗はこの減少によって起こる。
- 2
プロラクチン不正解
プロラクチンは下垂体から出て乳汁の分泌を促すホルモンで、高くなるのは授乳期である。
- 3
プロゲステロン不正解
プロゲステロンは排卵後の黄体から出るホルモンで、排卵が起こらなくなる更年期には減少する。
- 4
黄体形成ホルモン〈LH〉正解
黄体形成ホルモンは下垂体から出て排卵を促すホルモンで、エストロゲンが減ると分泌が増えて血中の値が上がる。
- 5
卵胞刺激ホルモン〈FSH〉正解
卵胞刺激ホルモンは卵胞を育てるホルモンで、卵巣が反応しなくなると分泌が強まる。更年期にはとくに早く上昇する。
📚 国試でよく狙われるところ
更年期は「下がるホルモンと上がるホルモン」を入れ替えて問われる。卵巣から出るものは下がり、下垂体から出るものは上がる、と出どころで分けて覚えよう。
- 閉経は、月経が12か月以上なくなった状態を、あとから振り返って確認する。日本人の平均は50歳ごろである。
- 更年期は閉経をはさんだ前後5年ずつ、合わせて約10年間をいう。
- エストロゲンが減ると骨量が急に落ち、骨粗鬆症や脂質異常症が起こりやすくなる。
参考: 母性看護学(更年期の身体的変化)/内分泌学(性腺刺激ホルモンの調節)
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について