第106回 看護師国家試験 午後 問55 解説
📝 問題
Aさん(65歳、男性)は、胃癌を疑われ検査入院した。入院時、認知機能に問題はなかった。不眠を訴え、入院翌日からベンゾジアゼピン系の睡眠薬の内服が開始された。その日の夜、Aさんは突然ナースステーションに来て、意味不明な内容を叫んでいた。翌朝、Aさんは穏やかに話し意思疎通も取れたが「昨夜のことは覚えていない」と言う。Aさんの昨夜の行動のアセスメントで最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 夜間だけ意識が混乱して意味不明な言動がみられ、翌朝には覚えていないことから、夜間せん妄と判断する。
入院という環境の変化、癌を疑われている不安、そこへベンゾジアゼピン系睡眠薬が加わった。 その夜だけ意味不明な言動があり、翌朝は穏やかで会話も成り立ち、そのときのことを覚えていない。
短時間で始まって夜間に強まり、日中は戻り、あとに記憶が残らない。 この経過がせん妄の特徴で、夜に目立つものを夜間せん妄という。 高齢者ではベンゾジアゼピン系の薬そのものが引き金になることが多い。
- 1
観念奔逸不正解
観念奔逸は考えが次々に浮かんで話題が飛ぶ状態で、躁状態でみられる。意識そのものは保たれている。
- 2
感情失禁不正解
感情失禁はささいなことで泣いたり怒ったりが止まらなくなる状態で、血管性認知症でみられる。
- 3
妄想気分不正解
妄想気分は「何か恐ろしいことが起きそうだ」という不気味な感じが続く状態で、統合失調症の初期にみられる。
- 4
夜間せん妄正解
夜間だけ意識が混乱し、日中は戻り、あとに記憶が残らない。入院翌日から始まった点も、薬や環境が引き金であることを示している。
📚 混同しやすいので注意
せん妄と認知症は、始まり方と1日の中での波で見分ける問題がくり返し出る。「急に始まって夜に悪くなり、元に戻るのがせん妄」と覚えよう。
- せん妄の3つの因子=もともとの状態(準備因子)・原因そのもの(直接因子)・環境や苦痛(誘発因子)
- せん妄を起こしやすい薬には抗コリン薬・オピオイド・ステロイドなどもあり、まず薬の見直しを行う
- 薬に頼る前に、日中の光と活動・夜の静けさ・時計やカレンダー・痛みや便秘の解消といった環境の調整を行う
参考: 医学書院「系統看護学講座 精神看護学」/日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について