第106回 看護師国家試験 午前 問57 解説

一般老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(85歳、女性)は、両側の感音難聴で「音は聞こえるけれど、話の内容が聞き取れないので困っています」と話した。Aさんに対する看護師の対応で適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 看護師の口の動きが見えるように、正面を向いて話す。

感音難聴は、音を電気信号に変える内耳や、それを脳へ伝える神経の障害で起こる。 音の大きさが足りないのではなく音が歪んで届くため、聞こえてはいるのに言葉として区別できない。 Aさんの「音は聞こえるけれど、話の内容が聞き取れない」という訴えが、まさにこの状態を表している。

言葉を補うのは、耳以外の手がかりである。 正面から顔が見える位置に立ち、口の動きが見えるように話すと、唇の形から言葉を補って理解できる。 低めの声でゆっくり、短く区切って話すことも助けになる。

補充現象とは

内耳の障害で、小さな音は聞こえにくいのに、ある大きさを超えると急にうるさく響いて聞こえる現象。大声で話すと嫌がられるのはこのためである。

  • 1

    大きな声で話す。不正解

    感音難聴では、小さな音は聞こえにくいのに大きな音は割れて響く補充現象が起こる。声を張るとかえって聞き取りにくく、不快にもなる。

  • 2

    話の内容をより詳しく説明する。不正解

    言葉数が増えるほど聞き分ける負担は大きくなる。短い文に区切り、大事な語を言い換えたり書いて示したりするほうが伝わる。

  • 3

    Aさんが文字盤を使えるようにする。不正解

    文字盤は、声を出すことが難しい人が自分の意思を伝えるための道具である。Aさんに必要なのは伝える手段ではなく受け取る手がかりで、文字を使うなら筆談やメモになる。

  • 4

    看護師の口の動きが見えるように話す。正解

    唇の形や表情から言葉を補えるようにする。マスクや逆光で口元が見えないと手がかりが失われるため、明るい場所で正面から向き合う。

📚 混同しやすいので注意

難聴は伝音性と感音性で、原因も対応も反対になる。「音が届かない」のか「音が分からない」のかで見分けよう。

伝音難聴と感音難聴の違い
項目伝音難聴感音難聴
障害の場所外耳・中耳内耳・聴神経
原因の例耳垢塞栓、中耳炎、鼓膜穿孔加齢、騒音、突発性難聴、薬の副作用
聞こえ方音が小さく聞こえる音は聞こえるが言葉が分かりにくい
主な対応原因の治療で改善しやすい補聴器、口の動きを見せる、筆談で補う

参考: 系統看護学講座 成人看護学 耳鼻咽喉/系統看護学講座 老年看護学

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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