第106回 看護師国家試験 午前 問103 解説

状況設定小児看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。定期受診のため外来を受診した。バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数32/分、心拍数120/分、血圧108/48mmHgであった。両上肢と手関節は屈曲、両下肢は交差伸展し、背を反らしており、全身が緊張している。母親は看護師に「Aは、便は出ない日がありますが大体毎日出ています。時々夜遅くまで眠らない日がありますが日中は機嫌良くしています」と話した。 母親に指導すべき内容で優先度が高いのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 全身の筋緊張が続いているため、緊張をやわらげる方法を母親に指導する優先度が高い。

A君は両上肢と手関節が屈曲し、両下肢は交差して伸び、背中を反らせている(後弓反張)。脳性麻痺による筋緊張の亢進が全身に出ている状態である。 緊張が続くと関節が固まって変形が進み、胸郭も動きにくくなって呼吸や食事にまで響く。痛みや不快がさらに緊張を強める悪循環も起こる。 まず、緊張をやわらげる抱き方と姿勢、静かな環境の整え方を母親に伝えることが、いま最も必要になる。

他の選択肢は、いま手を打つ根拠が示されていない。咳や鼻汁など感染をうかがわせる症状はない。 便は出ない日があっても大体毎日出ており、排便は保たれている。 呼吸数はやや多いが呼吸困難やチアノーゼはなく、緊張がやわらげば胸郭も動きやすくなる。 夜遅くまで眠らない日があっても日中は機嫌がよく、生活のリズムは回っている。

後弓反張とは

背中を強く反らせ、頭とかかとが後ろへ引っ張られるように反り返った姿勢。筋緊張が極端に高まったときにみられる。

  • 1

    感染予防不正解

    咳や鼻汁など感染をうかがわせる症状はない。体温37.5℃だけでは、感染予防を最優先にする根拠にならない。

  • 2

    筋緊張の緩和正解

    全身の緊張が続くと関節が固まり、変形や痛み、呼吸や食事のしにくさにつながる。抱き方と姿勢の工夫を先に伝える。

  • 3

    排便コントロール不正解

    便は出ない日があっても大体毎日出ている。いまの排便は保たれており、優先度は下がる。

  • 4

    呼吸機能の悪化予防不正解

    呼吸数はやや多いが、呼吸困難やチアノーゼはみられない。緊張が和らげば胸郭が動きやすくなり、呼吸も楽になる。

  • 5

    睡眠パターンのコントロール不正解

    夜遅くまで眠らない日があっても日中は機嫌がよい。生活のリズムは保たれており、いますぐ整える必要はない。

📚 ここも一緒におさえておこう

脳性麻痺の看護は、筋緊張をどう下げるかが土台になる。緊張が上がる場面と下げる工夫を対にして覚えよう。

  • 緊張が上がる場面=急に動かされる、大きな音や強い光、痛み、不安、寒さ。
  • 緊張を下げる工夫=声をかけてからゆっくり触れる、体を丸めた姿勢(股関節と膝を軽く曲げる)で支える、室温を保つ、入浴で温める。
  • 緊張が続くと関節拘縮と変形が進む。体位変換や装具、リハビリテーションを毎日の生活に組み込む。

参考: 小児看護学テキスト(脳性麻痺の子どもと家族への支援)/重症心身障害児のケアに関する標準テキスト

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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