第105回 看護師国家試験 午後 問93 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。Aさん(28歳、女性、会社員)は、夫と1歳の娘との3人で暮らしている。25歳のときに潰瘍性大腸炎と診断され、内服治療を続けてきた。Aさんは27歳で出産後、職場に復帰していたが3か月前から排便回数が増え、便に血液が混入するようになった。1週前から下痢が1日8〜10回あり、腹痛や発熱もみられ、外来受診したところ、潰瘍性大腸炎の再燃のため入院することになった。身長158.2 cm、体重40.2 kg。体温38.3℃、脈拍92/分、血圧108/76 mmHgであった。血液検査データは、赤血球340万/μL、白血球9,800/μL、Hb 7.8 g/dL、アルブミン2.5 g/dL、CRP 5.5 mg/dL。 入院後10日、Aさんの状態は改善し、経腸成分栄養剤300 mL/日(1kcal/mL)が開始された。Aさんは「入院前も自分なりには気を付けていたつもりだったけど、また悪くならないようにするには退院後はどうしたらいいのかしら」と話した。 このときのAさんへの説明で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 悪化のきっかけになった出来事を一緒に振り返り、Aさん自身が再燃を防ぐ手立てを見つけられるようにする。
Aさんは「自分なりには気を付けていたつもり」と話しており、何が再燃につながったのかをつかめていない。 潰瘍性大腸炎は症状が落ち着く寛解と再燃をくり返す病気で、過労・ストレス・感染・服薬の中断が引き金になりやすい。
注意点を一方的に並べても、Aさんの暮らしに当てはまるとは限らない。 入院前の生活を一緒に振り返ることが、退院後の過ごし方を組み立てる出発点になる。
他の選択肢は、Aさんの生活や栄養状態に合わない。 1歳の子どもを育てながらの復職は疲れがたまりやすく、働き方の調整が要る。 炭水化物は主なエネルギー源で、減らせば低栄養が進む。 経腸成分栄養剤600 mLは600 kcalで、1日に必要な量には届かない。
寛解とは
症状が落ち着いて安定している状態。潰瘍性大腸炎のように、寛解と再燃をくり返す病気がある。
- 1
「仕事は今までどおりで大丈夫です」不正解
過労とストレスは再燃の引き金になる。1歳の子どもを育てながらの復職では、勤務時間や休息のとり方を職場と相談する必要がある。
- 2
「下痢が続いたら炭水化物を減らしてください」不正解
潰瘍性大腸炎で控えるのは脂質と刺激物、活動期の食物繊維である。炭水化物は主なエネルギー源で、体重40.2 kgのAさんではむしろ確保したい。
- 3
「経腸成分栄養剤600 mLで1日分の栄養が確保できます」不正解
600 mLで600 kcalにとどまり、1日分にはならない。経腸成分栄養剤は食事で足りない分を補うもので、食事と組み合わせて使う。
- 4
「悪化のきっかけになるようなことがなかったか一緒に考えてみましょう」正解
再燃の前に何があったかを一緒にたどると、Aさん自身の生活に即した予防策が見つかる。自分で気づいた工夫は退院後も続けやすい。
📚 国試でよく狙われるところ
潰瘍性大腸炎の生活指導は、再燃の引き金と食事の内容が入れ替えて問われる。「疲れさせない・脂を減らす・薬を切らさない」で覚えよう。
- 自己判断での服薬中止が再燃の代表的な引き金。症状が消えても薬は続ける
- 活動期は低脂肪・低残渣にし、寛解期は制限をゆるめて必要なエネルギーをとる
- 長く続くと大腸癌の危険が高まるため、定期的な大腸内視鏡を続ける
参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる 消化器』/系統看護学講座 成人看護学(消化器)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について