第105回 看護師国家試験 午前 問120 解説
📝 問題
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。退院後1か月。訪問看護ステーションの看護師が訪問した際、夫から「妻は痛みで苦しんでいる様子はない。トイレと食事以外は眠っていることが多く、このまま死んでしまうのでしょうか。家で看取ることができるか不安です」と相談を受けた。 夫への支援で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ Aさんが希望する看取りの場について再度話し合うのが最も適切である。
終末期が進むと、眠っている時間が長くなる。これは病気の進行に伴う自然な経過で、痛みが強いことを表すものではない。
夫は「家で看取ることができるか」と揺れている。看取りの場についての気持ちは、経過のなかで変わってよい。 そこで、Aさんの希望を確かめ直しながら夫の不安を聞き、いまの状況で何ができるかを一緒に話し合う。話し合いは一度で終わらない。
残る3つは、夫の気持ちを聞かないまま先へ進めている。 励ますだけでは不安を言う場がなくなり、入院を提案すれば看護師が先に結論を出すことになる。痛みで苦しむ様子はなく、麻薬を増やす理由もない。
- 1
夫に頑張るよう励ます。不正解
頑張るよう励ますと、夫は不安を口にできなくなる。まず不安の中身を聞くことが支えになる。
- 2
病院に入院するよう提案する。不正解
入院という選択肢はあってよいが、決めるのはAさんと夫である。看護師が先に提案すると、本人の希望を確かめる機会が失われる。
- 3
麻薬の量を増やすことを提案する。不正解
痛みで苦しんでいる様子はなく、麻薬を増やす理由がない。眠っている時間が長いのは終末期の自然な経過である。
- 4
Aさんが希望する看取りの場について再度話し合う。正解
看取りの場の希望は、経過のなかで変わってよい。改めて話し合うことで、夫は不安を言葉にでき、Aさんの意思も確かめられる。
📚 ここも一緒におさえておこう
在宅の看取りは、家族に何を前もって伝えておくかで問われる。これから起こる変化と連絡先を先に渡しておく、と覚えよう。 本人・家族・医療者が繰り返し話し合って意思を確かめていく取り組みをアドバンス・ケア・プランニングといい、「人生会議」という愛称がついている。
- 亡くなる数日前から食事や水分がとれなくなり、眠っている時間が長くなる。自然な経過であることを前もって伝えておく
- 呼吸のしかたが変わる、手足が冷たくなるといった、これから起こる変化を伝えておくと家族は落ち着いて過ごせる
- 最初に連絡する先(訪問看護ステーションと主治医)を決めておくと、あわてて救急車を呼ばずにすむ
参考: 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」/在宅看護論テキスト(終末期の在宅ケア)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について