第105回 看護師国家試験 午前 問101 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。A君(6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。A君は病室内のトイレで排泄をしていた。看護師はマスク、手袋およびエプロンを着用しA君の排泄介助を行っていると、下着に便が付着していることに気付いた。看護師は、すぐにA君の下着を脱がせ流水で便を洗い流した。 下着の処理の方法で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ ノロウイルスで汚れた下着は、病室内で次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸して消毒する。
ノロウイルスは、ウイルスの外側を包む膜(エンベロープ)をもたない。アルコールはこの膜を壊して効くため、ノロウイルスには十分に効かない。 便で汚れた衣類の消毒に使うのは次亜塩素酸ナトリウムである。
もうひとつの原則は、汚れたものを病室の外へ持ち出さないこと。廊下や汚物処理室へ運ぶ間にウイルスを広げてしまう。 看護師はすでにマスク・手袋・エプロンを着けている。便を洗い流した下着は、その場で消毒液に浸すところまで済ませる。
残る3つは、A君の私物を捨てることになるか、ウイルスを減らせない。
エンベロープとは
一部のウイルスがもつ、外側を包む脂の膜。アルコールはこの膜を壊して効くため、膜のないノロウイルスやロタウイルスには効きにくい。
- 1
病室内のゴミ箱に捨てる。不正解
下着はA君の私物で、洗えば使えるもの。感染性のあるものを一般のごみとして扱うことにもなる。
- 2
病室内でエタノールに浸す。不正解
エタノールはウイルスを包む膜を壊して効く消毒薬。膜をもたないノロウイルスには効きにくい。
- 3
病室内で次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸す。正解
ノロウイルスに有効な消毒薬。便を洗い流したあと病室内で浸すことで、病室の外へ広げずに処理できる。
- 4
病室外の汚物処理室の感染性廃棄物用の容器に捨てる。不正解
私物を廃棄することになるうえ、汚れた下着を持って廊下を通る間にウイルスを広げる。
📚 国試でよく狙われるところ
ノロウイルスの対策は、消毒の濃度・食品の加熱・手の洗い方の3方向から問われる。場面と数字を対にして覚えよう。
- 吐物や便を拭き取るときの次亜塩素酸ナトリウムは0.1%(1,000ppm)。
- 手すりやドアノブなど環境の消毒は0.02%(200ppm)でよい。
- 食品は85〜90℃で90秒以上加熱すればウイルスは失活する。
- 手指はアルコールに頼らず、流水と石けんで洗い流す。
参考: 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」/系統看護学講座 小児看護学
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について