第104回 看護師国家試験 午後 問62 解説
📝 問題
A君(5歳、男児)は、先天性水頭症で脳室−腹腔〈V-P〉シャントが挿入されている。 定期受診の際、看護師が確認する項目で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 定期受診では、シャントの流れを妨げる便秘の有無を確認する優先度が最も高い。
脳室−腹腔シャントは、脳室にたまった髄液を細い管で腹腔へ流し、腹膜から吸収させる。 出口が腹腔にあるため、腹腔内の圧が上がると髄液が流れにくくなる。 その代表が便秘で、腸に便やガスがたまって腹圧が高まる。 シャントの働きが落ちると、頭痛・嘔吐・不機嫌・食欲低下といった頭蓋内圧亢進の症状が現れる。
残る3つも成長や発達をみるうえでは確認するが、シャントの働きを保つという点では順番があとになる。
頭蓋内圧亢進とは
頭の中の圧が高くなった状態。頭痛・嘔吐・意識の低下が代表的な症状で、放置すると命に関わる。
- 1
頭囲不正解
頭囲の測定は、大泉門や頭蓋の縫合が開いている乳児期に、髄液のたまり具合を知る手がかりになる。その大泉門が閉じるのは1歳6か月ごろなので、5歳では髄液がたまっても頭囲の増加としては現れにくい。
- 2
聴力不正解
聴力は言語発達をみるうえで確認する項目である。シャントが働いているかどうかを知る手がかりにはならない。
- 3
微細運動不正解
微細運動は発達の評価としてみる項目で、定期受診でも確認する。ただしシャントの機能不全に早く気づくための項目ではない。
- 4
便秘の有無正解
便秘は腹腔内の圧を上げ、髄液の流れを妨げる。排便の回数や便の硬さをたずね、水分・食事・生活リズムの調整につなげる。
📚 ここも一緒におさえておこう
シャントを入れた子どもは、合併症に早く気づけるかが看護の要になる。「詰まる・感染する・流れすぎる」の3つに分けて覚えよう。
- 詰まり(機能不全)=頭痛・嘔吐・意識がぼんやりする。乳児では大泉門が膨らむ
- 感染=発熱と、管の通り道に沿った皮膚の発赤や腫れ。髄膜炎を起こすことがある
- 流れすぎ=起き上がると頭痛が強くなり、横になると軽くなる
参考: 系統看護学講座 小児看護学/日本小児神経学会 水頭症の診療に関する情報
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について