第104回 看護師国家試験 午後 問52 解説
📝 問題
Aさん(48歳、女性)は、卵巣癌の腹膜播種性転移で亜イレウス状態になった。栄養療法のために、右鎖骨下静脈から中心静脈カテーテルの挿入が行われたが、鎖骨下動脈を穿刺したため中止された。処置直後の胸部エックス線撮影で異常はなかったが、4時間後、Aさんは胸痛と軽い呼吸困難を訴えた。 最も考えられるのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 鎖骨下動脈を刺したことによる出血が胸腔にたまり、血胸を起こしている。
中心静脈カテーテルを鎖骨の下から入れるとき、すぐ隣を走る鎖骨下動脈を刺してしまうことがある。動脈は圧が高いので出血が続き、血液が胸腔にたまる血胸になる。 血液がたまるまでには時間がかかるので、処置の直後にエックス線写真が正常でも否定できない。4時間たってから胸痛と呼吸困難が出てきたのはそのためである。 胸腔に血液がたまると肺がふくらめず、患側の呼吸音の低下がみられる。出血が多ければ血圧低下や頻脈も加わる。
他の3つは、この時間の経過で急に起こるものではない。
- 1
血胸正解
鎖骨下動脈からの出血が胸腔にたまった状態。呼吸困難・胸痛・患側の呼吸音の低下がみられ、量が多ければ胸腔ドレナージを行う。
- 2
肺炎不正解
肺炎は発熱・咳・膿のような痰を伴って進む。処置の数時間後に急な呼吸困難を起こす形ではない。
- 3
肺転移不正解
肺転移は数か月単位でゆっくり進む変化。処置の4時間後に症状が出る原因にはならない。
- 4
胸膜炎不正解
胸膜炎は感染や炎症で胸膜に炎症が起こるもの。動脈を刺した直後に起こる合併症ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
中心静脈カテーテルは、挿入した場所ごとの合併症と、入れたあとの確認が問われる。「刺した場所のすぐ隣に何があるか」で結び付けよう。
- 鎖骨下静脈は胸膜と動脈がすぐ近くにあり、気胸と血胸が起こりやすい
- 内頸静脈も動脈を刺しやすいが、外から押さえて止血できる位置にある
- 大腿静脈は気胸が起こらない代わりに、感染のリスクが高い
- 入れたあとは必ず胸部エックス線写真で、先端の位置と気胸の有無を確認する
参考: 標準的な成人看護学(中心静脈カテーテル挿入の合併症)
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について