第104回 看護師国家試験 午後 問117 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(35歳、男性、建設業)は、両親と3人で暮らしている。3年前の仕事中に屋根から転落して、第12胸髄を損傷した。1か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週1回の訪問看護を利用している。 Aさんは自宅のトイレを利用している。緩下薬を内服し、2日に1回浣腸を行っている。猛暑が続く8月の訪問時にAさんは最近便秘がちで尿量も少ないと訪問看護師に繰り返し訴えた。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 水分の摂取を促すのが最も適切である。
猛暑が続く時期に、便秘と尿量の減少が同時に起きている。汗で失われる水分が増えているのにとる量が追いつかず、脱水に傾いた状態である。水分が減ると便から水分が引かれて硬くなり、尿量も減る。 水分をとってもらうことが、どちらの訴えにも効く。
脊髄を損傷していると、損傷した高さより下では汗をかきにくくなる。それでも猛暑で失う水分は多いので、のどが渇く前に飲むよう勧める。
残る3つは、水分不足という原因に届かない。 浣腸を増やしても水分は補えず、繰り返すうちに直腸の反応が鈍って自然な排便から遠ざかる。 Aさんは自宅のトイレを使えており、ポータブルトイレでは排泄の場所が変わるだけである。 緩下薬を変えるのは、水分をとっても改善しないことを確かめてからになる。
- 1
水分の摂取を促す。正解
猛暑で汗として失う水分が増え、便が硬くなり尿量も減っている。まず水分を補うことが、便秘と尿量減少の両方に効く。
- 2
浣腸の回数を増やす。不正解
水分不足が原因なので、浣腸を増やしても解決しない。繰り返すと直腸の反応が鈍り、自然な排便から遠ざかる。
- 3
ポータブルトイレの利用を勧める。不正解
Aさんは自宅のトイレを使えている。排泄の場所を変えるだけで、便秘も尿量の減少も改善しない。
- 4
医師に別の緩下薬の処方を依頼する。不正解
薬を変える前に、原因である水分不足を取り除く。水分を補っても改善しないときに、医師と薬の見直しを相談する。
📚 ここも一緒におさえておこう
脊髄損傷後の排便は、薬と浣腸だけに頼らない工夫が問われる。生活のリズムと組み合わせて覚えよう。
- 水分と食物繊維をとり、決まった時間にトイレへ座る習慣をつくる
- 食後は腸が動きやすい。胃・結腸反射を利用して食後にトイレへ行く
- 座位は腹圧をかけやすい。腹部マッサージを組み合わせると排便が進みやすい
参考: 系統看護学講座 在宅看護論/系統看護学講座 リハビリテーション看護
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について