第103回 看護師国家試験 午後 問68 解説
📝 問題
Aさん(23歳、女性)は、トラックの横転事故に巻き込まれて一緒に歩いていた友人が死亡し、自分も軽度の外傷で入院している。看護師がAさんに「大変でしたね」と声をかけると、笑顔で「大丈夫ですよ。何のことですか」と言うだけで、事故のことは話さない。Aさんは検査の結果、軽度の外傷以外に身体的な異常や記憶の障害はない。 この現象はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ つらい体験の記憶や感情を意識から切り離している状態は解離である。
解離は、受け止めきれない体験の記憶や感情を、意識から切り離してしまう心の働きである。 Aさんは友人が亡くなった事故のただ中にいながら、笑顔で「何のことですか」と答えている。 記憶の障害も身体の異常もないのに、その体験だけがすっぽり抜けているのが手がかりになる。 強い衝撃を受けた直後には、解離性健忘のような形で心を守ることがある。
他の3つも心を守る働きだが、体験を切り離す形ではない。気持ちの向け先を変える昇華、理由づけで納得する合理化、本心と反対の態度をとる反動形成と区別する。
- 1
解離正解
つらい体験の記憶や感情を意識から切り離す働き。Aさんは事故のことだけを思い出せなくなっている。
- 2
昇華不正解
昇華は、攻撃したい気持ちを格闘技に向けるように、そのままでは出せない衝動を社会に認められる活動に変えること。
- 3
合理化不正解
合理化は、志望校に落ちた人が「もともと行きたくなかった」と言うように、事実にもっともらしい理由をつけて納得すること。
- 4
反動形成不正解
反動形成は、嫌いな相手にかえって丁寧に接するように、本心と反対の態度をとること。
📚 混同しやすいので注意
防衛機制は、事例と名前を入れ替えて問われる。「気持ちをどう動かしたか」という形で区別しよう。
| 名称 | どう心を守るか |
|---|---|
| 抑圧 | 受け入れがたい欲求や記憶を意識の外へ押しやる |
| 否認 | つらい事実そのものを認めない |
| 投影 | 自分の中の認めたくない感情を、相手のものだと感じる |
| 退行 | 以前の発達段階の行動に戻る |
| 置き換え | 本人に向けられない感情を、別の相手や物に向ける |
参考: 精神看護学テキスト(防衛機制と心の反応)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について