第103回 看護師国家試験 午後 問113 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(40歳、男性)は、大学1年生のときに統合失調症を発症し、精神科病院に20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。 退院後3か月、Aさんは処方どおりに服薬している。Aさんの母親から「退院してからずっと1日中家の中で何もせず過ごしています。夫は本人に働くよう言っています」と看護師に相談があった。 母親への対応として最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ まずAさん本人がどう考えているかを母親に尋ね、本人の思いを確かめる。
20年の入院を経て、在宅生活が3か月。服薬は処方どおり続いており、症状が悪くなった様子もない。家で過ごしていること自体は、退院直後としては自然な経過である。 困っているのは、Aさんではなく母親と父親のほうである。父親が働くよう促す関わりは、家族の感情表出〈EE〉が高い状態にあたり、統合失調症では再発の危険を高める。
いま必要なのは、Aさんが何を望み、何に困っているかを知ること。 本人の考えを母親に尋ねると、家族が「働かせなければ」という思いから少し離れ、Aさんの状態に合わせて関われるようになる。
残る3つは、Aさんの意向を確かめないまま次の手を決めている。
感情表出とは
家族が本人に向ける批判や過度な関わりの強さ。強すぎると統合失調症の再発が起こりやすくなる。
- 1
「もう一度入院を考えてみますか」不正解
再入院を考える根拠がない。家で過ごしていることだけを理由に持ち出せば、家族の不安を強めてしまう。
- 2
「アルバイトを探してはいかがですか」不正解
退院3か月で就労を勧めるのは早い。本人の希望と体力を確かめないまま働くよう促すと、その負担が再発の引き金になる。
- 3
「Aさんはどう考えているようですか」正解
母親の心配の中に、まだAさんの意向が入っていない。本人の考えを聞くことで、家族の期待と本人の状態のずれが見え、次の支援を組み立てられる。
- 4
「お薬の調整を主治医に相談してみましょうか」不正解
薬は処方どおり飲めており、いま調整する根拠はない。主治医への相談は、幻聴や睡眠の乱れが強まったときに行う。
📚 国試でよく狙われるところ
統合失調症の在宅支援では、家族の関わり方と本人の意欲の戻り方が問われる。家族を責めずに支える側へ回ってもらうのが基本、と覚えよう。
- 家族に病気の知識と対応の仕方を伝える家族心理教育が有効で、家族会も支えになる
- 本人の意欲が出るまでには時間がかかる。日中の居場所として地域活動支援センターなどを一緒に探す
- 長期入院のあとは生活のリズムづくりから始め、就労は本人が望んだ段階で就労移行支援につなぐ
参考: 標準的な精神看護学(統合失調症の家族支援・再発予防)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について