第103回 看護師国家試験 午後 問109 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害と診断され入院した。 Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。 看護師の対応で優先されるのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 刺激の少ない静かな場所へ誘導して、興奮がこれ以上強まらないようにする。
Aさんは双極性障害の躁状態にある。じっとしていられず、次々と他の患者に話しかけ、止められると激しく言い返す。周囲の音や人の動きが、そのまま行動を加速させている。
まず行うのは、刺激を減らして落ち着ける環境をつくること。 静かな場所へ誘導すれば、興奮が高まる悪循環を断ち、Aさん自身の消耗もほかの患者とのトラブルも防げる。
残る3つは、いまのAさんには刺激を増やす方向にはたらく。
観念奔逸とは
次々と考えが浮かんで話題が飛び、話がまとまらなくなること。躁状態でみられる。
- 1
家族に付き添いを依頼する。不正解
家族の付き添いは人の出入りを増やし、かえって刺激になる。家族自身も対応に疲れきってしまう。
- 2
Aさんを静かな場所へ誘導する。正解
個室など人の少ない場所へ移すと、入ってくる刺激そのものが減る。落ち着きを取り戻せば、休息と食事の時間も確保しやすくなる。
- 3
Aさんに病気に関する説明をする。不正解
躁状態では次々と考えが浮かんで話題が飛ぶ(観念奔逸)ため、説明を最後まで聞き続けることが難しい。病気の話は落ち着いてから行う。
- 4
納得できるまで看護師に話すよう促す。不正解
話し続けるほど興奮は強まり、休息と睡眠がさらに削られる。話は短く区切って受け止める。
📚 国試でよく狙われるところ
躁状態の看護は「何をするか」より「何を減らすか」で問われる。刺激を減らす・消耗を防ぐ・回復後に本人が困る行動から守る、の3点で選択肢を振り分けよう。
- 個室など刺激の少ない環境に整え、面会や電話は必要に応じて制限する
- 動き回って食事と睡眠が不足するため、脱水と体重減少に注意して観察する
- 浪費・性的な逸脱・借金など、回復後に本人が困る行動から守る
- 説得や議論はせず、伝えることは短く具体的にする
参考: 標準的な精神看護学(双極性障害・躁状態の看護)/厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」(双極性障害)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について