第115回 看護師国家試験 午前 問29 解説
📝 問題
肺血栓塞栓症の確定診断に用いるのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ Dダイマー(選択肢のなかで肺血栓塞栓症の診断に用いるのはこれだけ)
Dダイマーは、いったんできたフィブリン血栓がプラスミンによって溶かされる(線溶)ときに生じる分解産物である。体内で血栓の形成と溶解が起きていることを示す指標で、肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症・DIC・大動脈解離などで上昇する。とくに陰性であれば血栓症をほぼ否定できる(陰性的中率が高い)一方、手術後・外傷・妊娠・感染・悪性腫瘍・高齢でも上がるため特異度は低い。
なお、肺血栓塞栓症の本来の確定診断は造影CT(肺動脈造影CT)で肺動脈内の血栓(造影欠損)を描出して行うもので、Dダイマーは除外・スクリーニングに用いるのが臨床上の位置づけである。本問では選択肢に画像検査がなく、他の3つはいずれも肺血栓塞栓症の診断に使わない検査であるため、Dダイマーが正答とされている。
- 1
Dダイマー正解
正しい(公式正答)。Dダイマーはフィブリン分解産物で、血栓の存在を示す。陰性なら肺血栓塞栓症はほぼ除外できる。ただし厳密には確定診断ではなく、除外・スクリーニング検査である。
- 2
ヘモグロビン不正解
ヘモグロビンは赤血球中の酸素運搬蛋白で、貧血・多血症の指標。
- 3
プロトロンビン時間〈PT〉不正解
プロトロンビン時間〈PT〉は外因系凝固の検査。ワルファリンの効果判定(PT-INR)や肝機能・DICの評価に用いるもの
- 4
活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉不正解
活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉は内因系凝固の検査。未分画ヘパリンの効果判定や血友病の診断に用いる。
📚 関連知識
- 症状は突然の呼吸困難・胸痛・頻呼吸・頻脈。重症例では失神・ショック・心停止に至る。
- 誘因は長期臥床、術後の初回歩行、長時間の座位(ロングフライト血栓症)。
- 治療は抗凝固療法(ヘパリン→DOACまたはワルファリン)が基本で、重症例では血栓溶解療法、抗凝固が使えない場合は下大静脈フィルター。
| 検査 | 位置づけ | 主な所見 |
|---|---|---|
| Dダイマー | 除外・スクリーニング | 陰性ならほぼ否定できる(特異度は低い) |
| 造影CT(肺動脈CT) | 確定診断 | 肺動脈内の造影欠損 |
| 心エコー | 重症度評価 | 右心負荷所見(右室拡大、三尖弁逆流) |
| 動脈血ガス分析 | 補助 | 低酸素血症+低二酸化炭素血症 |
| 心電図 | 補助 | 洞性頻脈、右軸偏位、SⅠQⅢTⅢ |
| 肺血流シンチグラフィ | 造影剤が使えない場合 | 換気・血流のミスマッチ |
参考: 日本循環器学会「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について