第115回 看護師国家試験 午前 問26 解説
📝 問題
骨格筋の収縮で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 滑走説——フィラメント自体の長さは変わらない。
骨格筋の収縮は滑走説(滑り込み説)で説明する。細いアクチンが太いミオシンの間へ滑り込んでサルコメア(筋節)が短くなるのであって、フィラメントそのものの長さは変わらない。
収縮はこの順に起こる。 ・運動神経の終末からアセチルコリンが出る ・筋線維に活動電位が生じ、T管を伝わる ・筋小胞体からCa²⁺が放出される ・Ca²⁺がトロポニンに結合し、アクチンの結合部位が現れる ・ミオシン頭部がATPを分解して首を振り、アクチンをたぐり寄せる
筋小胞体とは
筋線維の中にあるカルシウムの貯蔵庫。刺激が届くとカルシウムを放出し、収縮のスイッチになる。
- 1
アクチンがATPを消費する。不正解
ATPを分解するのはミオシン頭部で、ここにATPアーゼ活性がある。アクチンは結合される側である。
- 2
細胞外カルシウムイオンが必要である。不正解
骨格筋が使うCa²⁺は筋小胞体から出る細胞内のもので、細胞外からの流入は必要としない。
- 3
筋収縮の結果、グリコゲンが蓄積される。不正解
逆で、グリコーゲンは筋収縮のエネルギー源として消費される。蓄えられるのは休息時・食後である。
- 4
ミオシンフィラメントの長さは変化しない。正解
正しい。滑走説では、重なりが増えてサルコメアが短くなるだけで、フィラメント自体の長さは変わらない。
📚 混同しやすいので注意
骨格筋・心筋・平滑筋は、収縮に使うCa²⁺の出どころが違う。ここが対比のポイント。 収縮のしくみと、それが崩れたときに何が起こるかもあわせて問われる。
- サルコメアはZ帯からZ帯まで。収縮で短くなるのはI帯とH帯で、A帯は変わらない。
- 筋のエネルギーは、クレアチンリン酸 → 解糖系 → 酸化的リン酸化の順に動員される。
- 死後硬直は、ATPが尽きてミオシン頭部がアクチンから外れられなくなるために起こる。
- 重症筋無力症は神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体で起こり、易疲労性・眼瞼下垂・複視が夕方に強くなる。
| 項目 | 骨格筋 | 心筋 | 平滑筋 |
|---|---|---|---|
| 横紋 | あり | あり | なし |
| 随意性 | 随意 | 不随意 | 不随意 |
| 支配 | 体性神経(運動神経) | 自律神経が調節(自動能あり) | 自律神経 |
| 収縮に使うCa²⁺ | 筋小胞体(細胞内) | 細胞外+筋小胞体 | 細胞外が中心 |
| 疲労 | しやすい | しにくい | しにくい |
参考: 日本生理学会編『standard 生理学』
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について