第114回 看護師国家試験 午後 問67 解説
📝 問題
患者が看護師を愛情深い親のような存在とみなし、看護師に対して肯定的な感情を抱くのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 過去の大切な人への肯定的な感情を看護師に向けるのが陽性転移である。
転移とは、患者が過去の大切な人(多くは親)に向けていた感情を、無意識のうちに目の前の治療者に向けることをいう。
向けられる感情が好意・信頼・依存のような肯定的なものであれば陽性転移、敵意・不信・怒りのような否定的なものであれば陰性転移である。本問の「愛情深い親のような存在とみなし、肯定的な感情を抱く」は陽性転移にあたる。
- 1
投影不正解
投影は、自分の中の認めたくない感情を相手のものとみなす防衛機制である。「自分が相手を嫌っている」ことを認められず「相手が自分を嫌っている」と感じるのが典型である。
- 2
共依存不正解
共依存は、相手に必要とされることに自分の価値を見いだし、互いに離れられなくなる関係をいう。感情の向け替えを説明する言葉ではない。
- 3
反動形成不正解
反動形成は、抑え込んだ感情と正反対の態度をとる防衛機制である。憎んでいる相手にことさら丁寧に接する、といった形をとる。
- 4
陽性転移正解
陽性転移である。治療関係を進める助けになる一方、行き過ぎると依存や特別扱いの要求につながるため、距離の取り方に注意する。
📚 ここも一緒におさえておこう
転移は患者から治療者へ。反対に、治療者が自分の過去の感情を患者に向けてしまうのが逆転移である。
- 「この患者だけ特別に世話を焼きたくなる」「理由もなく苦手に感じる」は逆転移のサイン。気づいたら1人で抱えずに相談する
- 逆転移に気づく助けになるのがプロセスレコード(患者とのやりとりを書き起こして振り返る記録)と、カンファレンスやスーパービジョンでの共有
- 陰性転移は治療の中断につながりやすいが、その人の対人関係のくせを理解する手がかりにもなる
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について