第114回 看護師国家試験 午前 問84 解説

一般成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

同種造血幹細胞移植の前に行われる全身放射線照射の目的はどれか。2つ選べ。

✅ 正解

2・4

💡 解説

✅ 全身放射線照射は、体に残った**腫瘍細胞を死滅させる**ことと、移植した幹細胞が拒絶されるのを防ぐことが目的である。

同種造血幹細胞移植の前に行う移植前処置には、目的が2つある。 ・体に残っている腫瘍細胞を死滅させる ・患者自身の免疫を抑えて、移植した幹細胞が拒絶されないようにする

全身放射線照射は、大量化学療法とならぶ前処置の柱。全身に均等に当たるので、薬が届きにくい中枢神経や精巣にも効果が及ぶ。

そのぶん骨髄と免疫を極端に抑えるため、移植後は生着までの数週間、感染の危険が最も高い時期を通ることになる。

  • 1

    感染の予防不正解

    前処置は骨髄と免疫を強く抑えるので、むしろ感染しやすい状態をつくる。感染予防が目的ではない。

  • 2

    拒絶反応の防止正解

    正しい。患者のリンパ球など免疫の細胞を抑え、ドナーの幹細胞が拒絶されないようにする。

  • 3

    抗癌薬の活性化不正解

    放射線が抗癌薬を活性化するわけではない。大量化学療法と放射線照射は、それぞれ独立に腫瘍細胞の死滅と免疫の抑制に働く。

  • 4

    腫瘍細胞の根絶正解

    正しい。骨髄や体に残っている白血病細胞などを死滅させる。

  • 5

    移植片対宿主病〈GVHD〉〈graft-versus-host disease〉の予防不正解

    移植片対宿主病(GVHD〈ジーブイエイチディー〉)は、ドナーのリンパ球が患者の組織を攻撃する反応。予防には免疫抑制薬を使うのであって、前処置の照射で防ぐものではない。

📚 ここも一緒におさえておこう

移植は時期ごとに起こることが決まっている。時期と看護をセットで覚える。

  • 全身放射線照射の後々の影響として、白内障・間質性肺炎・不妊・二次がん、成長の遅れ、甲状腺機能の低下がある。
  • 子どもを希望する場合は、治療を始める前に妊孕性の温存(精子・卵子・受精卵の凍結保存)について情報を伝える。
造血幹細胞移植の経過と看護の要点
時期起こること主な看護
前処置期(移植の約1週間前)大量化学療法+全身放射線照射。悪心・嘔吐、下痢、口内炎吐き気止めの管理、口腔ケアの開始、輸液と水分の出入りの管理
移植〜生着前(0〜約3週)骨髄が抑えられ好中球はほぼゼロ。感染・出血の危険が最大無菌管理、口や肛門周囲の観察、発熱時の迅速な対応、輸血
生着後〜100日急性の移植片対宿主病(皮疹・下痢・黄疸)、ウイルス感染皮膚・便の性状・肝機能の観察、免疫抑制薬の血中濃度の管理
100日以降慢性の移植片対宿主病(皮膚が硬くなる、目や口の乾き)、後々の障害長期の経過観察、二次がん・内分泌の障害・不妊への対応

生着は好中球500/μL以上が3日連続した最初の日と定義される。

出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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