第114回 看護師国家試験 午前 問50 解説
📝 問題
がん患者の家族における社会的苦痛はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 治療費の出費が続くことへの不安は、社会的苦痛にあたる。
全人的苦痛(トータルペイン)は、苦しみを身体的・精神的・社会的・スピリチュアルの4つの側面からとらえる考え方で、患者だけでなく家族にもあてはまる。
社会的苦痛とは、お金の問題、仕事や学業の中断、家庭での役割の変化、人間関係の変化など、社会生活のなかで生じる苦痛のこと。
- 1
「患者にはどのがん治療が適切なのか」不正解
治療選択をめぐる迷いや情報不足による不安で、精神的苦痛にあたる。
- 2
「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」不正解
「なぜ自分の家族が」という問いは、出来事の意味や理不尽さを問うスピリチュアルペイン。答えを与えるより、問いに寄り添う姿勢が求められる。
- 3
「患者のがん治療を代わることはできないのか」不正解
代わってあげたいのに代われないという無力感・自責感で、精神的苦痛にあたる。傾聴と「できていること」を認める言葉が支えになる。
- 4
「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」正解
正しい。治療費が生活の土台をおびやかす訴えで、社会的苦痛の代表例。
📚 国試でよく狙われるところ
社会的苦痛には、使える制度を知っていることがそのまま支援になる。
- 家族は「第二の患者」と呼ばれ、患者と同じくケアの対象になる。
- 経済面を支える制度=高額療養費制度・限度額適用認定証、傷病手当金、障害年金、医療費控除、身体障害者手帳。
- 40歳以上65歳未満でも末期がんは介護保険の特定疾病にあたり、介護保険のサービスを使える。
| 側面 | 内容 |
|---|---|
| 身体的苦痛 | 痛み、呼吸困難、だるさなどの症状 |
| 精神的苦痛 | 不安、抑うつ、怒り、無力感 |
| 社会的苦痛 | お金、仕事、家庭での役割、人間関係 |
| スピリチュアルペイン | 生きる意味、存在の意味、罪の意識 |
参考: WHO「緩和ケアの定義」(2002年)
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について