第113回 看護師国家試験 午後 問56 解説
📝 問題
下腿の開放骨折のため手術を受けたA君(8歳、男児)に、術後の疼痛管理のため患者自己調節鎮痛法〈Patient Controlled Analgesia:PCA〉を用いた持続的な静脈内注射を行うことになった。A君は「痛くなるのが怖い」と話している。看護師はA君に鎮痛薬の追加について説明することにした。A君への説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 患者自己調節鎮痛法〈PCA〉では、痛くなり始めたら操作ボタンを押すよう説明する。
患者自己調節鎮痛法〈PCA〉は、痛いときに患者自身がボタンを押し、あらかじめ決められた量の鎮痛薬を追加できる方法である。痛みは強くなってからでは抑えにくいため、痛くなり始めた早いうちに押すよう、子どもにも分かる言葉で説明する。
押す目安は、決まった時間でも我慢の限界でもなく、痛みの出はじめである。ロックアウトタイムが設定されているので、続けて押しても薬が入らないようになっている。
ロックアウトタイムとは
PCAで、1回ボタンを押したあと次の追加投与を受け付けない時間。押しすぎによる過量投与を防ぐ。
- 1
「時間を決めて操作ボタンを押そうね」不正解
PCAは時間を決めて押すのではなく、痛みに応じて操作するものである。
- 2
「痛くなり始めたら操作ボタンを押そうね」正解
痛みは強くなる前が抑えやすいため、痛くなり始めたら早めにボタンを押すよう説明するのが適切である。
- 3
「痛くなったら何回でも操作ボタンを押してお薬を追加できるよ」不正解
ロックアウトタイムがあり何回でも追加投与されるわけではなく、過量の誤解を招く説明である。
- 4
「痛みがどうしても我慢できなくなったら操作ボタンを押そうね」不正解
我慢できなくなるまで待つと痛みを抑えにくくなるため、早めの対応を促すべきである。
📚 一緒に確認しよう
- PCAのボタンは患者本人だけが押す。家族や看護師が代わりに押すと、過量投与の危険が高まる
- 呼吸抑制・過鎮静・悪心嘔吐・掻痒感などの副作用を観察し、呼吸数とSpO₂をモニタリングする
| スケール | 対象の目安 | 方法 |
|---|---|---|
| FLACCスケール | 言葉で表現できない乳幼児 | 表情・下肢・活動・啼泣・慰めやすさを観察して採点 |
| フェイススケール | 3歳ごろ以上 | 表情の絵から自分の痛みに合うものを選ぶ |
| 数値評価スケール(NRS) | 学童後期(9歳ごろ)以上で、数の大小を理解できる | 0〜10の数字で痛みの強さを表す |
| 視覚的アナログスケール(VAS) | 学童後期(9歳ごろ)以上で、線上の位置で程度を示せる | 10cmの線上に印をつける |
参考: 患者自己調節鎮痛法〈PCA〉の原理と患者指導
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について