第113回 看護師国家試験 午前 問94 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。 Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。 Aさんの呼吸機能に関する数値で増加を示すのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患では、エアトラッピングによって残気量が増加する。
肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD〈シーオーピーディー〉)では、細い気道がつぶれて息を吐ききれず、肺の中に空気が閉じ込められる(エアトラッピング)。 その結果、吐き出したあとに肺へ残る残気量が増え、肺全体が過膨張する。
最初の1秒でどれだけ吐き出せるかを示す1秒率は下がり、吐ききれずに肺へ残る残気量は上がる。同じ閉塞性の障害でも向きが逆になる点が問われやすい。
- 1
1秒率不正解
1秒率は閉塞性換気障害を反映して低下する(70%未満が目安)ため、増加ではない。
- 2
残気量正解
エアトラッピングと肺の過膨張により残気量は増加する。
- 3
1回換気量不正解
1回換気量は増加を特徴とする指標ではなく、進行例ではむしろ効率が低下する。
- 4
動脈血酸素分圧〈PaO2〉(room air)不正解
動脈血酸素分圧〈PaO2〉は換気血流不均衡により低下傾向を示し、増加はしない。
📚 国試でよく狙われるところ
COPDは、重症度をどの数値で決めるかと、日々の呼吸法や生活の整え方が、あわせて問われる。
- COPDの病期分類は対標準1秒量で決まる(Ⅰ期80%以上、Ⅱ期50〜80%、Ⅲ期30〜50%、Ⅳ期30%未満)。
- 口すぼめ呼吸は呼気時の気道内圧を高めて末梢気道の虚脱を防ぎ、呼気を長くして残気を減らす。
- 禁煙は呼吸機能の低下速度を緩やかにできる唯一の治療。インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンは増悪の予防に有効である。
| 指標 | COPDでの変化 |
|---|---|
| 1秒率〈FEV1/FVC〉 | 低下する。気管支拡張薬吸入後70%未満が閉塞性換気障害=COPDの診断基準 |
| 残気量・機能的残気量・全肺気量 | 増加する(エアトラッピングによる肺の過膨張) |
| 肺拡散能〈DLCO〉 | 低下する(肺気腫で肺胞壁が破壊されるため) |
| 肺活量 | 正常から軽度低下 |
| 動脈血ガス | 進行するとPaO2低下、さらにPaCO2上昇(Ⅱ型呼吸不全) |
参考: COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について