第113回 看護師国家試験 午前 問90 解説
📝 問題
薬剤投与に関する重大な医療事故が発生した。 このときの看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 医療事故が起きたときは、まず患者の状況を確認して安全を確保し、事故発生時の状況を看護記録に残す。
重大な医療事故が起きたとき、看護師がまずすることは患者の安全確保である。状態を確認し、必要な応急処置を行い、医師と上司へただちに報告する。
対応が落ち着いたら、事故が起きたときの状況を客観的な事実として看護記録に残す。これが原因究明と再発防止の土台になる。
- 1
患者の状況を確認して安全を確保する。正解
患者の状況を確認し安全を確保することが、事故発生時の最優先事項である。
- 2
事故発生状況の詳細を看護記録に残す。正解
事故発生状況を客観的事実として看護記録に正確に残すことは、原因究明と再発防止に不可欠である。
- 3
薬剤投与に使用した物品は直ちに処分する。不正解
使用した物品は原因究明の証拠となるため保存すべきで、直ちに処分してはならない。
- 4
患者の容態が落ち着いてから上司に報告する。不正解
上司への報告は容態の安定を待たず、速やかに行う必要がある。
- 5
患者および家族に事故状況を説明するのは、原因が判明した後にする。不正解
患者・家族への説明は原因判明を待たず、判明している事実を誠実に速やかに伝えるのが原則である。
📚 国試でよく狙われるところ
医療事故は、その場の動き方だけでなく、記録の残し方や、病院と制度としての取り組みまで問われる。医療安全でよく使う用語もあわせて確認しよう。
- 事故発生時の初動=患者の安全確保(応急処置)→医師・上司への速やかな報告→事実の記録→患者・家族への誠実な説明→薬剤や器材の保存。
- 看護記録は事実を客観的に、推測や弁解を交えずに記載する。訂正は元の記載が読めるように二重線と署名で行い、消去や書き換えをしない。
- 医療事故調査制度(医療法)では、医療に起因する予期しない死亡・死産を管理者が医療事故調査・支援センターへ報告し、院内調査を行う。
- 再発防止では個人の責任追及ではなく、根本原因分析(RCA)によってシステム要因を分析する。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| インシデント(ヒヤリ・ハット) | 患者に実害が及ばなかった、あるいは及ぶ可能性があった出来事 |
| アクシデント(医療事故) | 患者に何らかの傷害が生じた出来事。過失の有無は問わない |
| 医療過誤 | 医療者の過失によって生じた医療事故 |
| ハインリッヒの法則 | 1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故と300件のヒヤリ・ハットがある |
| スイスチーズモデル | 複数の防護壁の穴が偶然重なったときに事故が起こるという考え方 |
参考: 医療安全管理の標準的指針(インシデント・アクシデント発生時対応)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について