第113回 看護師国家試験 午前 問87 解説
📝 問題
全身麻酔下で胃全摘出術を受ける患者に対する無気肺の予防法はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・5
💡 解説
✅ 無気肺の予防にはハフィング法とインセンティブ・スパイロメトリーが有効である。
全身麻酔をかけた開腹術のあとは、創部の痛みで深く息が吸えず、痰も出しにくくなる。空気の入らない肺胞がつぶれた状態が無気肺である。
予防は、肺胞をふくらませることと、たまった痰を出すことが柱になる。 インセンティブ・スパイロメトリーは器具を使ってゆっくり深く吸い込み、肺胞を広げる。ハフィング法は「ハッ、ハッ」と強く息を吐いて、末梢の痰を太い気道へ動かす。
- 1
腹帯の装着不正解
腹帯は創部の保護・支持が主目的で、無気肺の予防法ではない。
- 2
抗菌薬の使用不正解
抗菌薬は感染の予防・治療が目的で、無気肺の予防とは異なる。
- 3
ハフィング法正解
ハフィング法は強制呼出で痰を排出させる排痰法で、無気肺予防に有効である。
- 4
弾性ストッキングの装着不正解
弾性ストッキングは深部静脈血栓症の予防を目的とする。
- 5
インセンティブ・スパイロメトリーの使用正解
インセンティブ・スパイロメトリーは深い吸気で肺胞を拡張し、無気肺を予防する。
📚 これとセットで理解しよう
術後の呼吸ケアは、方法を知っているだけでは実施につながらない。うまく続けるための条件と、合併症が起こる時期をあわせて押さえよう。
- 無気肺予防の三本柱は深呼吸・排痰・早期離床。疼痛があると深呼吸も咳嗽もできないため鎮痛を先行させる。
- ハフィング法は声門を開いたまま息を吐くので、咳嗽より創部への負担が少ない。
- インセンティブ・スパイロメトリーは術前から練習しておくと術後の実施率と効果が高まる。
| 時期 | 主な合併症 |
|---|---|
| 術直後(24時間以内) | 出血・ショック、気道閉塞、無気肺、覚醒遅延、術後悪心・嘔吐 |
| 術後1〜3日 | 吸収熱、無気肺・肺炎、術後せん妄、疼痛 |
| 術後3〜7日 | 縫合不全、創部感染、カテーテル関連感染、深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症 |
| 術後1週以降 | 癒着性イレウス、瘢痕拘縮、機能障害 |
参考: 周術期看護における術後呼吸器合併症予防の標準的ケア
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について