第113回 看護師国家試験 午前 問80 解説
📝 問題
甲状腺クリーゼについて正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 甲状腺クリーゼは感染症を誘因として発症することが多い。
甲状腺クリーゼは、コントロール不良の甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモン過剰)に、感染・手術・外傷・治療中断などの誘因が加わって発症する、致死率の高い緊急病態である。なかでも感染症が誘因として多い。 高熱、著明な頻脈・心房細動、不穏、意識障害、消化器症状などを呈する。
甲状腺ホルモンの欠乏が重篤化した状態は粘液水腫性昏睡である。亢進症の危機と低下症の危機を取り違えないよう整理したい。
- 1
低体温となる。不正解
低体温ではなく、高熱(高体温)をきたすのが特徴である。
- 2
致死率は2%以下である。不正解
致死率は2%以下ではなく10%以上と高い、緊急性の高い病態である。
- 3
誘因として感染症が多い。正解
感染症は甲状腺クリーゼの代表的な誘因で、手術・外傷・治療中断なども契機となる。
- 4
初期症状として徐脈を認める。不正解
初期から著明な頻脈や心房細動を認め、徐脈ではない。
- 5
甲状腺ホルモンの欠乏症である。不正解
甲状腺ホルモンの過剰による病態であり、欠乏症ではない。
📚 一緒に確認しよう
甲状腺機能亢進症では、体に出るサインと、薬を続けるうえでの注意が問われる。
- Basedow(バセドウ)病のMerseburg(メルゼブルク)三徴=びまん性甲状腺腫・眼球突出・頻脈。
- 抗甲状腺薬(チアマゾール等)の重大な副作用に無顆粒球症があり、発熱・咽頭痛が出たら直ちに服薬を中止して受診するよう指導する。
| 項目 | 甲状腺クリーゼ | 粘液水腫性昏睡 |
|---|---|---|
| 背景 | 甲状腺機能亢進症(Basedow病)のコントロール不良 | 甲状腺機能低下症の重症化 |
| 誘因 | 感染、手術、外傷、抗甲状腺薬の中断、ヨード造影剤 | 寒冷、感染、鎮静薬、治療中断 |
| 体温 | 38℃以上の高熱 | 低体温 |
| 循環 | 著明な頻脈、心房細動、心不全 | 徐脈、低血圧 |
| 中枢神経 | 不穏、せん妄、けいれん、昏睡 | 傾眠、昏睡 |
| 治療 | 抗甲状腺薬、無機ヨウ素、β遮断薬、ステロイド、解熱と補液 | 甲状腺ホルモン補充、ステロイド、保温、呼吸循環管理 |
参考: 標準的な内分泌学(甲状腺クリーゼの病態)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について