第112回 看護師国家試験 午後 問54 解説
📝 問題
Aさん(80歳、女性)は脳梗塞の後遺症のため要介護5と認定され、治療を終えて退院することになった。Aさんの息子の妻が「義母が退院したら同居して、私が初めて介護することになります」と不安そうに看護師に話しかけてきた。このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 「介護についてどのような思いがありますか」と思いを引き出す問いかけが最も適切である。
初めて介護を担うことに不安を抱く家族に対しては、まず本人の思いや不安を受け止め、傾聴する姿勢が基本である。「介護についてどのような思いがありますか」と問いかけることで、相手が感じている不安や困りごとを自由に語れるよう促し、そこから具体的な支援につなげられる。
他の選択肢は相手の感情を軽視した対応である。「介護は楽しいですよ」「すぐに慣れますよ」は、不安を訴えている相手の気持ちを受け止めず一方的に安心させようとする不適切な言葉かけ(安易な保証)である。「家族で介護できるよう頑張りましょう」も、負担への配慮を欠き励ましを押しつける形になっており、相手の思いを引き出す対応ではない。
開かれた質問とは
「はい・いいえ」では答えられず、相手が自由に話せる聞き方。「どのような思いがありますか」など。反対は閉じた質問。
- 1
「介護は楽しいですよ」不正解
不安を訴える相手に「楽しいですよ」と返すのは気持ちを受け止めない安易な言葉かけである。
- 2
「介護にはすぐに慣れますよ」不正解
「すぐに慣れますよ」は不安を軽視した安易な保証であり適切でない。
- 3
「家族で介護できるよう頑張りましょう」不正解
「頑張りましょう」は負担への配慮を欠き、励ましを押しつける対応である。
- 4
「介護についてどのような思いがありますか」正解
開かれた質問で介護への思いを引き出し、不安を受け止めて支援につなげる適切な対応である。
📚 ここも一緒におさえておこう
事例問題では、技法の名前と実際のひとことを入れ替えて問われる。名前だけを覚えず、そのとき何と言うか、どんな支援につなぐかまでをセットで思い浮かべよう。
- 治療的コミュニケーションの技法=傾聴・受容・共感・沈黙・反復・明確化・要約・開かれた質問。
- 非治療的な応答=安易な保証(大丈夫ですよ)・同情・忠告や指示・話題の転換・批判や否定・なぜと問い詰めること。
- 不安を訴える相手には、まず感じている感情を言葉にして返す(「不安に思っていらっしゃるのですね」)ことで、話しやすい関係をつくる。
- 介護を担う家族には、介護から一時的に離れて休めるレスパイトケア(ショートステイ・通所サービス)や家族会・介護者教室など社会資源の情報提供を行う。
参考: 家族看護(介護者への心理的支援・コミュニケーション)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について