第112回 看護師国家試験 午後 問47 解説
📝 問題
成人の気管支喘息に対する副腎皮質ステロイド薬の吸入で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 吸入ステロイド薬の吸入後は含嗽を促すのが正しい。
吸入ステロイド薬(ICS)は気管支喘息の長期管理の基本薬である。口腔・咽頭に残った薬剤による口腔カンジダ症や嗄声などの局所副作用を防ぐため、吸入後は含嗽(うがい)を行って口腔内の薬剤を洗い流すよう指導する。
他の選択肢は吸入ステロイドの性質と合わない。吸入ステロイドは局所作用が主で全身への影響が少なく、糖尿病患者への投与が一律に禁忌となるわけではない(全身投与のステロイドとは区別する)。吸入ステロイドの主な副作用は口腔カンジダ症・嗄声などの局所症状で、不整脈は代表的な副作用ではない。喘息の重積発作(急性増悪)時は速やかな気管支拡張と全身ステロイドが中心で、吸入ステロイドは発作時の即効的治療薬ではなく長期管理に用いる。
嗄声とは
声がかすれること。吸入ステロイドが声帯に付いてこすれると起こりやすく、吸入後のうがいで減らせる。
- 1
糖尿病の患者への投与は禁忌である。不正解
吸入ステロイドは局所作用が主で全身影響が少なく、糖尿病患者に一律禁忌ではない。
- 2
副作用(有害事象)に不整脈がある。不正解
吸入ステロイドの主な副作用は口腔カンジダ症・嗄声などの局所症状で、不整脈は代表的でない。
- 3
重積発作の際に使用する。不正解
重積発作時は気管支拡張薬や全身ステロイドが中心で、吸入ステロイドは長期管理薬である。
- 4
吸入後は含嗽を促す。正解
吸入後は含嗽で口腔内の薬剤を洗い流し、口腔カンジダ症や嗄声を予防する。
📚 混同しやすいので注意
この2つを分けられれば全部解ける。毎日吸って炎症を抑える薬(長期管理薬)と、発作のときだけ使う薬(発作治療薬)。下の表で名前と役割を対にして覚えよう。
- 吸入ステロイドの局所副作用は口腔カンジダ症・嗄声。予防は吸入後の含嗽で、うがいが難しい場合は飲食前に吸入するなどの工夫をする。
- β2刺激薬の副作用=動悸・頻脈・手指振戦・低カリウム血症。短時間作用性β2刺激薬(SABA)の過剰使用はコントロール不良のサインである。
- 息を思いきり吐いたときの最も速い息の勢いであるピークフローの自己測定と喘息日誌により、症状を客観的に把握してアクションプランにつなげる。
| 区分 | 代表的な薬 | 役割 |
|---|---|---|
| 長期管理薬(コントローラー) | 吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放薬 | 気道の慢性炎症を抑え発作を予防する |
| 発作治療薬(リリーバー) | 短時間作用性β2刺激薬(SABA)、全身性ステロイド薬、アミノフィリン | 発作時に気管支を速やかに拡張する |
参考: 気管支喘息の薬物療法(吸入ステロイド薬)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について