第112回 看護師国家試験 午後 問109 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。 Aさん(58歳、男性)は、年金の給付を受けて生活している父親(82歳)と2人暮らしで、母親は2年前に亡くなっている。20歳のときに統合失調症と診断された。20歳代で何回か仕事に就いたが長続きはしなかった。40歳からは無職で、デイケアへ通所していた。1年前にデイケアを中断してからは、ほとんどの時間を自宅で過ごしているが、月1回の外来通院は継続している。Aさんが飲まなかった薬がたくさん残っていることを父親が発見し、主治医に相談した。この相談をきっかけに、週1回の精神科訪問看護を導入することになった。初回訪問時にAさんは「薬は飲み忘れたんです。心配かけてごめんなさい」と父親と訪問看護師に話した。 このときの訪問看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 本人と一緒に薬を飲み忘れない方法を話し合うことが、最も優先度が高い対応である。
統合失調症のAさんの残薬が多量に見つかり、精神科訪問看護が導入された初回訪問の場面である。まず優先すべきは、Aさん本人と『薬を飲み忘れない方法』を一緒に話し合うことである。
統合失調症の治療継続では服薬アドヒアランスが再発予防の鍵になる。本人を責めず、なぜ飲み忘れるのかを一緒に確かめながら、生活に合う続け方を決めていく。
他の選択肢は初回時点では優先度が低い。父親(82歳)に薬の管理を依頼するのは、高齢の父親への負担が大きく本人の自律も損なう。薬剤師への服薬指導の依頼や、主治医とデイケア再開を相談することも有用となりうるが、まずは本人と直接、飲み忘れを防ぐ方法を話し合うことが最優先である。
服薬アドヒアランスとは
患者が納得したうえで、自分から治療を続けること。指示どおりに飲ませる「コンプライアンス」と違い、本人が決めて続けることを大事にする。
- 1
父親に薬の管理を依頼する。不正解
82歳の父親に薬の管理を依頼するのは負担が大きく、本人の自律も損なうため優先度は低い。
- 2
薬を飲み忘れない方法を話し合う。正解
本人と飲み忘れを防ぐ方法を話し合うことは、生活に合った服薬継続を支え信頼関係を保つ最優先の対応である。
- 3
外来受診時に薬局の薬剤師に服薬指導を依頼する。不正解
薬剤師への服薬指導依頼も有用だが、まず本人と直接方法を話し合うことが優先される。
- 4
デイケアの再開を主治医と相談するように提案する。不正解
デイケア再開の相談は将来的な選択肢だが、初回で服薬継続の工夫より優先されるものではない。
📚 国試でよく狙われるところ
統合失調症の事例は、薬を飲まなくなった場面を出して「まず誰に何をするか」を選ばせる形で繰り返し問われる。答えは本人と一緒に方法を考える関わりに集まる、と覚えよう。 統合失調症では服薬の中断が再発の最大の要因で、再発を繰り返すほど機能低下が進む。
- 服薬中断の理由には副作用、自分が病気だと実感しにくいこと(病識の乏しさ)、飲み忘れ、効果を実感できない、経済的負担などがある。
- 工夫の例=一包化、服薬カレンダー・お薬ケース、生活行動(歯磨き・食事)への組み込み、服薬時刻の変更を医師に相談。
- 持効性注射剤(デポ剤)は2〜4週に1回の筋注で、飲み忘れによる中断を防げる。
- 精神科訪問看護は医師の指示書に基づき、服薬支援・生活支援・家族支援・相談を行う。
参考: 精神看護学(服薬アドヒアランス支援・訪問看護)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について