第112回 看護師国家試験 午前 問80 解説
📝 問題
検査の画像(別冊No. 1)を別に示す。狭心症の手術に最も重要な検査はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 狭心症の手術(血行再建)に最も重要な検査は、冠動脈の狭窄部位と程度を直接評価する冠動脈造影である。
本問は別冊No. 1の検査画像を見て、狭心症の手術(冠動脈バイパス術などの血行再建)に最も重要な検査を選ぶ問題である。 狭心症の手術では冠動脈の狭窄部位・程度を正確に把握する必要があり、それを直接調べられるのは冠動脈造影(心臓カテーテル検査による冠動脈の撮影)である。
冠動脈造影は、カテーテルから造影剤を注入して冠動脈の走行・狭窄・閉塞を映し出す検査で、血行再建(バイパス術・PCI)の適応や術式の決定に欠かせない。心電図・心臓超音波検査・運動負荷検査も虚血の評価に用いるが、どこがどれだけ狭いかを見て手術の部位を決められるのは冠動脈造影である。
「狭心症の血行再建には冠動脈造影が必須」という原則を押さえておく。
PCI〈ピーシーアイ〉とは
カテーテルを使い、狭くなった冠動脈を風船やステントで内側から広げる治療。胸を開かずにできる血行再建。
- 1
A不正解
Aは頭部MRIの水平断像で、脳の形態をみる検査である。冠動脈の状態はわからない。
- 2
B不正解
Bは胸部エックス線写真の正面像で、心陰影の大きさや肺うっ血はわかるが、冠動脈そのものは写らない。
- 3
C正解
Cは冠動脈造影像である。冠動脈の走行と狭窄の部位・程度を直接評価でき、血行再建の術式決定に最も重要である。
- 4
D不正解
Dは心筋血流シンチグラフィで、心筋血流の分布から虚血の範囲はわかるが、どこがどれだけ狭いかは示せない。
- 5
E不正解
Eは腹部の水平断CT像で、肝臓などの腹部臓器をみる検査である。狭心症の評価には用いない。
📚 ここも一緒におさえておこう
虚血性心疾患の検査は「虚血があるか(機能的評価)」と「どこがどれだけ狭いか(解剖学的評価)」に分けて理解する。血行再建の適応・術式決定には冠動脈造影が不可欠である。 冠動脈造影を受けた患者では、検査後の観察が看護のポイントになる。
- 検査後は穿刺部の出血・血腫、末梢動脈の拍動、造影剤による腎機能障害とアレルギー反応を観察する
- 造影剤使用時は十分な水分摂取で排泄を促し、糖尿病の飲み薬であるビグアナイド薬(メトホルミンなど)は乳酸アシドーシスを避けるため検査前後に休薬する
- 橈骨動脈穿刺では圧迫止血後のしびれ・冷感を、大腿動脈穿刺では床上安静と下肢の観察を行う
| 検査 | わかること |
|---|---|
| 12誘導心電図 | ST変化・異常Q波などの虚血・梗塞の所見 |
| 運動負荷心電図 | 労作時に誘発される心筋虚血 |
| ホルター心電図 | 日常生活中の一過性虚血・不整脈 |
| 心臓超音波検査 | 壁運動異常、心機能(駆出率)、弁膜症の合併 |
| 心筋シンチグラフィ | 心筋血流の分布と、虚血・梗塞の範囲 |
| 冠動脈CT | 冠動脈の狭窄・石灰化のスクリーニング(非侵襲的) |
| 冠動脈造影〈CAG〉 | 狭窄の部位と程度を直接評価。血行再建の適応・術式決定に必須 |
参考: 標準的な循環器病学(冠動脈造影と血行再建)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について