第112回 看護師国家試験 午前 問75 解説
📝 問題
音を感知するラセン器〈Corti〈コルチ〉器〉があるのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 音を感知するラセン器〈コルチ器〉があるのは蝸牛管である。
聴覚の受容器であるラセン器(コルチ器)は、内耳の蝸牛(かぎゅう)にある蝸牛管の基底膜上に存在する。音による振動が基底膜を揺らし、コルチ器の有毛細胞が興奮して聴神経(蝸牛神経)へ電気信号を伝えることで音を感知する。
他の選択肢はいずれも音の受容には直接関与しないか、別の役割をもつ。半規管と前庭は平衡覚(回転・傾き)の受容器で、内耳の前庭器官に属する。鼓膜は外耳と中耳の境で音の振動を受ける膜、鼓室は中耳の空間で耳小骨が振動を内耳へ伝える。
「音を感じるのはコルチ器=蝸牛管」「傾き・回転を感じるのは前庭・半規管」と分けて覚える。
有毛細胞とは
コルチ器に並ぶ感覚細胞。表面の毛が振動で揺れると、それを電気信号に変えて蝸牛神経へ伝える。
基底膜とは
蝸牛管の中でコルチ器を支えている膜。音の高さによってよく揺れる場所が違うため、高い音と低い音を聞き分けられる。
- 1
蝸牛管正解
蝸牛管の基底膜上にラセン器(コルチ器)があり、音を感知して蝸牛神経へ伝える。
- 2
半規管不正解
半規管は回転(角加速度)を感じる平衡覚の受容器で、音の感知には関与しない。
- 3
鼓室不正解
鼓室は中耳の空間で、耳小骨が音の振動を内耳へ伝える。音の感知器官ではない。
- 4
鼓膜不正解
鼓膜は音の振動を受ける膜であり、音を電気信号に変換する受容器ではない。
- 5
前庭不正解
前庭は傾き・直線加速度を感じる平衡覚の受容器で、音の感知には関与しない。
📚 一緒に確認しよう
耳は外耳・中耳・内耳に分かれ、内耳は聴覚(蝸牛)と平衡覚(前庭・半規管)の受容器を含む。どちらも第Ⅷ脳神経(内耳神経)が中枢へ伝える。 どこが障害されたかで難聴の種類が決まる。
- 伝音難聴=外耳・中耳の障害(耳垢栓塞、中耳炎、耳硬化症)、感音難聴=内耳〜聴神経の障害(加齢性難聴、突発性難聴、メニエール病、音響外傷)
- 加齢性難聴は感音難聴で高音域から低下する。会話は低めの声で正面からゆっくり行う
- 小児の中耳炎が多いのは、耳管が太く短く水平なため
| 部位 | 構造 | はたらき |
|---|---|---|
| 外耳 | 耳介、外耳道 | 音を集めて鼓膜へ導く |
| 中耳 | 鼓膜、耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)、耳管 | 音の振動を増幅して内耳へ伝える。耳管は中耳腔の圧を調節する |
| 内耳(蝸牛) | 蝸牛管、基底膜、ラセン器(コルチ器) | 音の振動を電気信号に変換し、蝸牛神経へ伝える |
| 内耳(前庭) | 卵形嚢・球形嚢の平衡斑 | 頭部の傾きと直線加速度を感じる |
| 内耳(半規管) | 三半規管の膨大部稜 | 回転(角加速度)を感じる |
参考: 標準的な解剖生理学(内耳の構造と聴覚)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について