第112回 看護師国家試験 午前 問69 解説
📝 問題
Aさん(80歳、女性)は1人暮らしで、在宅酸素療法〈HOT〉を受けている。訪問看護師はAさんに停電時を想定した避難行動の指導を行うことにした。Aさんの停電時の避難行動で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 在宅酸素療法〈HOT〉を受けるAさんの停電時の避難行動では、酸素濃縮器から酸素ボンベへ切り替えて酸素の供給を保つことの優先度が最も高い。
在宅酸素療法〈HOT〉で用いる酸素濃縮器は電源で作動するため、停電すると酸素の供給が止まる。継続的な酸素投与を要する患者にとって供給の中断は生命に直結するので、停電時にはまず電源のいらない酸素ボンベに切り替えて酸素を確保する。
避難行動の優先順位は「生命維持に直結するもの」から考える。 出口の確保や関係機関への連絡も必要だが、これらは酸素の供給を確保したうえで行う。ブレーカーを落とすことは避難の優先事項ではなく、むしろ濃縮器の再稼働を妨げるおそれがある。 「まず酸素を確保」という原則で優先度を判断する。
- 1
電気のブレーカーを落とす。不正解
ブレーカーを落とすことは避難の優先事項ではなく、濃縮器の再稼働を妨げるおそれもある。
- 2
玄関の扉を開けて出口を確保する。不正解
出口の確保も必要だが、酸素供給の確保より優先度は高くない。
- 3
訪問看護ステーションに連絡をする。不正解
訪問看護ステーションへの連絡は必要だが、まず酸素供給を確保したうえで行うべきである。
- 4
酸素濃縮器から酸素ボンベに切り替える。正解
停電で酸素濃縮器が停止するため、電源不要の酸素ボンベへ切り替えて酸素供給を確保することが最優先である。
📚 ここも一緒におさえておこう
在宅酸素療法〈HOT〉では、酸素濃縮器(電源が必要)と携帯用酸素ボンベ(電源不要)を併用する。 停電・災害にはボンベで、火災には火気管理で備える。
- 酸素は支燃性(ほかのものが燃えるのを助ける性質)があるため火気厳禁。喫煙・ガスコンロ・ストーブ・仏壇のろうそくなどの火気から2 m以上離す
- 停電時は携帯用酸素ボンベに切り替える。ボンベの残量と使用可能時間を把握し、予備を確保しておく
- 酸素流量は自己判断で変更しない。CO₂ナルコーシス(高濃度の酸素で呼吸が浅くなり、二酸化炭素がたまって意識が低下する状態)のリスクがあるため、指示された流量を守るよう指導する
- 停電・災害に備え、酸素供給業者・訪問看護ステーション・主治医の緊急連絡先と避難経路を家族と確認しておく
参考: 在宅酸素療法〈HOT〉の管理・災害対策
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について