第112回 看護師国家試験 午前 問62 解説
📝 問題
不妊症について正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 不妊症の基本検査には基礎体温測定が含まれる。
不妊症は「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一定期間(一般に1年)避妊せず性交しているにもかかわらず妊娠成立をみない状態」と定義される。 女性側の基本検査には基礎体温測定(排卵の有無・黄体機能の推定)、ホルモン検査(LH・FSH・AMHなど)、卵管疎通性検査、超音波検査などがあり、なかでも基礎体温測定は簡便で欠かせない検査である。
不妊の原因は女性因子(排卵障害・卵管因子など)、男性因子、双方に及ぶものがあり、いわゆる原因不明不妊は全体の約1〜2割程度とされる(約6割ではない)。 また女性の加齢は卵子の質・数の低下を通じて妊娠率・治療成績に強く影響するため、年齢は治療効果を左右する重要な因子である。
不妊治療はタイミング法→人工授精→体外受精・顕微授精の順に段階を上げていく。 不妊手術(避妊のための手術)は妊娠を防ぐ処置であり、不妊症の治療ではない。
AMH〈エーエムエイチ〉とは
抗ミュラー管ホルモン。育ち始めた卵胞から分泌され、血液中の値から卵巣に残っている卵子の量(卵巣予備能)の目安がわかる。
FSH〈エフエスエイチ〉とは
卵胞刺激ホルモン。下垂体から出て卵胞を育てるホルモンで、排卵を起こすLH(黄体形成ホルモン)とともに測って排卵障害を調べる。
- 1
約6割は原因不明である。不正解
原因不明不妊は全体の約1〜2割程度であり、約6割ではない。
- 2
検査に基礎体温測定がある。正解
基礎体温測定は排卵の有無や黄体機能を推定する不妊症の基本検査である。
- 3
治療の1つに不妊手術がある。不正解
不妊手術は妊娠を避けるための手術(避妊法)であり、不妊症を治療するものではない。
- 4
女性の年齢は治療効果に影響しない。不正解
女性の加齢は卵子の質・数の低下を通じて治療効果に強く影響する。
📚 ここも一緒におさえておこう
不妊症の定義にいう「一定期間」は、日本産科婦人科学会が2015年に2年から1年へ短縮した。 加齢の影響が大きいため、35歳以上では早めに検査を始めることが勧められる。
- 不妊の原因は女性側だけでなく男性側にもあり、男性因子が関与するのは約半数とされる
- 2022年4月から人工授精・体外受精・顕微授精などの基本的な不妊治療が保険適用となった
- 不妊手術(避妊のための手術)は母体保護法に基づいて行われる
| 対象 | 検査 | わかること |
|---|---|---|
| 女性 | 基礎体温測定 | 排卵の有無、黄体機能 |
| 女性 | ホルモン検査(LH・FSH・プロラクチン・AMHなど) | 排卵障害の有無、卵巣予備能 |
| 女性 | 子宮卵管造影 | 卵管の疎通性、子宮腔の形態 |
| 女性 | 経腟超音波検査 | 卵胞の発育、子宮内膜の厚さ、子宮筋腫・卵巣嚢腫 |
| 男性 | 精液検査 | 精子濃度、運動率、形態 |
参考: 日本産科婦人科学会 不妊症の定義・検査
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について