第111回 看護師国家試験 午後 問94 解説
📝 問題
次の文を読み94~96の問いに答えよ。 Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。 帰室後の看護として適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 開頭術後は頭蓋内圧亢進予防のためベッドの頭側を挙上する。
脳腫瘍摘出などの開頭術後は、頭蓋内圧〈ICP〉亢進の予防・管理が最重要課題となる。ベッドの頭側を15〜30度挙上すると頭部からの静脈還流が促され、脳静脈のうっ滞が軽減してICPの上昇を抑えられる。
他の選択肢はいずれもICPを上げるか、異常の見逃しにつながる。頸部の前屈は頸静脈を圧迫して静脈還流を妨げるため、頸部は中間位で保つ。徐脈はクッシング現象(ICP亢進時の血圧上昇+徐脈)の徴候でありうるので、経過観察にはしない。発熱もICPを上げる要因なので、冷罨法は禁忌ではなくむしろ有用である。
頭蓋内圧とは
かたい頭蓋骨の内側にかかる圧力。脳のむくみや出血で中身が増えると上がり、脳が押しつぶされる危険がある。
静脈還流とは
全身をめぐった血液が静脈を通って心臓へ戻る流れ。頭を高くすると、頭からの戻りがよくなる。
- 1
発熱時の冷罨法は禁忌である。不正解
発熱は脳代謝を亢進させICPを上げるため、冷罨法はむしろ有用。禁忌ではない。
- 2
徐脈時は経過観察とする。不正解
徐脈はクッシング現象などICP亢進の徴候でありうる。経過観察ではなく報告・対応が必要。
- 3
ベッドの頭側を挙上する。正解
頭側挙上で静脈還流を促し頭蓋内圧亢進を予防する。開頭術後の基本的な体位管理。
- 4
頸部を前屈させる。不正解
頸部前屈は頸静脈を圧迫し静脈還流を妨げ、ICPを上昇させるため避ける。
📚 国試でよく狙われるところ
開頭術後は、頭蓋内圧が上がったときの徴候と、上げないための看護の両方が問われる。 頭蓋内圧亢進の三徴は頭痛・嘔吐(噴射状)・うっ血乳頭。進行するとCushing(クッシング)現象(血圧上昇+徐脈)や意識レベルの低下、瞳孔不同が現れ、脳ヘルニアが切迫している。
- 頭蓋内圧を上げる因子=頸部の屈曲・回旋、努責・咳嗽、吸引、高二酸化炭素血症、発熱、疼痛・不穏。
- 体位は頭側15〜30度挙上+頸部中間位で静脈還流を保つ。
- 薬物では高浸透圧利尿薬(D-マンニトール・グリセオール)で脳浮腫を軽減する。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について