第111回 看護師国家試験 午後 問35 解説
📝 問題
構音障害がある成人患者への対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 構音障害がある患者には筆談を提案するのが適切である。
構音障害は、脳血管障害などで発声・発語に関わる筋の動きが障害され、言葉が不明瞭になる状態である。言葉の理解や思考は保たれていることが多く、聴力も障害されていない。 そのため、話す代わりに文字で伝える筆談が、有効な代わりの手段になる。
ほかの選択肢を検討する。手話は聴覚障害のある人への手段で、構音障害のある人が手話を習得しているとは限らない。耳元で話しかけるのは難聴の人への配慮であり、聴力は保たれているので必要ない。不明瞭な言葉を繰り返し聞き直すのは、患者に負担と焦りを与えるため避ける。聞き取れないときは、ゆっくり話してもらい、閉じた質問(はい・いいえで答えられる質問)や文字盤・筆談を併用するとよい。
覚え方は「構音障害=話せないが、聞こえるし分かる」。 言葉の理解そのものが障害される失語症との違いに注意する。
失語症とは
大脳の言語中枢が障害され、話す・聞く・読む・書くといった言葉のやりとり全体が不自由になる状態。声を出す筋の問題である構音障害とは別のもの。
- 1
手話で説明する。不正解
手話は聴覚障害者への手段。構音障害の患者が手話を使えるとは限らず適切でない。
- 2
筆談を提案する。正解
構音障害では言語理解と聴力は保たれるため、筆談は有効な代替コミュニケーション手段である。
- 3
耳元で話しかける。不正解
聴力は障害されていないため耳元で話す必要はない。
- 4
不明瞭な言語は繰り返し聞き直す。不正解
繰り返し聞き直すと患者に負担・焦りを与える。ゆっくり話してもらう、筆談併用が望ましい。
📚 混同しやすいので注意
ブローカ失語(運動性失語)は話すことが困難だが理解は比較的良好、ウェルニッケ失語(感覚性失語)は流暢に話すが理解が困難。失語症では言葉そのものの障害であるため、筆談は必ずしも有効でない。
- 失語症の人には短く平易な言葉で、絵カード・身振りを併用し、答えを急がせずに待つ。
- 難聴のある高齢者には正面から顔を見せ、低めの声でゆっくり話す。大声で叫ぶのはかえって聞き取りにくい。
- 構音障害には五十音表・文字盤・筆談・意思伝達装置が有効。疲労しやすいので短時間で区切る配慮をする。
- コミュニケーション障害の患者では「わかったふり」をしないで、伝わったかを確認しながら進める。
| 構音障害 | 失語症 | |
|---|---|---|
| 障害される部位 | 発声・発語に関わる筋や神経(運動の障害) | 大脳の言語中枢 |
| 言語の理解 | 保たれる | 障害されることがある |
| 読み書き | 保たれる | 障害される |
| 有効な手段 | 筆談、文字盤、五十音表、閉じた質問 | 絵カード、身振り、短い平易な言葉、待つ |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について