第111回 看護師国家試験 午後 問15 解説
📝 問題
低体温から回復するための生体の反応はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 低体温から回復するための反応はふるえである。
体温が低下すると、体はふるえ(シバリング)によって骨格筋を不随意に、律動的に収縮させ、熱産生を高めて体温を回復させようとする。 ふるえは寒冷時の代表的な体温上昇反応である。
体温調節の反応は、体温を上げる向きと下げる向きの2つに分かれる。 体温を上げる(産熱・保温)反応は、ふるえ・皮膚血管収縮(体表への血流減少による熱放散抑制)・立毛・代謝亢進。 体温を下げる(放熱)反応は、発汗・皮膚血管拡張(体表への血流増加)である。 低体温=熱を生み逃がさない方向、と整理する。
選択肢の「発汗」「体表面への血流増加」はいずれも熱を逃がす(体温を下げる)反応で、低体温からの回復には逆方向である。「乳酸の蓄積」は嫌気性代謝の産物であり、体温調節反応ではない。
シバリングとは
寒いときに骨格筋が小刻みに収縮すること。筋を動かすことで熱をつくり、体温を上げる。
嫌気性代謝とは
酸素が足りないときに糖を分解してエネルギーをつくる仕組み。副産物として乳酸がたまる。
- 1
発汗不正解
発汗は気化熱で体温を下げる反応。低体温回復には逆方向。
- 2
ふるえ正解
ふるえは骨格筋収縮で熱産生を高める体温回復反応である。
- 3
乳酸の蓄積不正解
乳酸の蓄積は嫌気性代謝の結果で、体温調節反応ではない。
- 4
体表面への血流増加不正解
体表への血流増加は熱放散を促し体温を下げる反応。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
体温調節中枢は視床下部にある。 感染時は発熱物質によってセットポイントが上昇し、体温が新しいセットポイントに届くまで悪寒戦慄(ふるえ)が起こる。
- 熱の放散は輻射・伝導・対流・蒸発の4経路。発汗による蒸発は高温環境で唯一有効な放熱手段。
- 解熱期はセットポイントが下がるため発汗がみられ、脱水に注意して水分を補う。
- 悪寒戦慄の時期に冷罨法を行うと苦痛が増す。保温してふるえを止め、体温が上がりきってから冷罨法へ切り替える。
- 新生児は非ふるえ熱産生(褐色脂肪組織)が主体で、体表面積が大きく低体温になりやすい。
| 方向 | 反応 |
|---|---|
| 熱産生を増やす | ふるえ、非ふるえ熱産生(褐色脂肪)、代謝亢進、甲状腺ホルモン・カテコールアミン分泌増加 |
| 熱放散を減らす | 皮膚血管収縮、立毛、身体を丸める |
| 熱放散を増やす | 発汗、皮膚血管拡張 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について